[調査・レポート]

IT運用担当者の6割超が「新技術に触れる機会がない」と回答、キャリアパスに不安─ガートナー

2023年9月14日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ガートナージャパンは2023年9月14日、IT運用担当者のキャリアパスに関する国内ユーザー調査結果を発表した。過半数の回答者が自身のキャリアパスに何らかの不安や不満を抱えていることが分かった。不安や不満の理由として、新しい技術に触れる機会がないこと、IT部門の他のメンバーと比べて昇給・昇進が遅いこと、責任の重さに対して待遇が悪いことなどが挙がった。

 ガートナージャパンは2023年4月、従業員500人以上の国内企業・組織を対象に、IT運用担当者のキャリアパスに関するユーザー調査を実施した。結果から、過半数の回答者が自身のキャリアパスに何らかの不安や不満を抱えていることが分かった。

図1:IT運用担当者がキャリアパスに不安を抱く理由(出典:ガートナージャパン、2023年9月)
拡大画像表示

 IT運用担当者のキャリアパスに対する不安や不満の理由を聞いたところ、新しい技術に触れる機会がないこと、IT部門の他のメンバーと比べて昇給・昇進が遅いこと、責任の重さに対して待遇が悪いことなどが挙がった(図1)。

新技術を習得できる機会を提供せよ

 最も多かった回答は「DevOpsやクラウド、SRE、コンテナ等新しい技術に触れる機会がない」(62.5%)だった。また、「IT部門でありながらエンジニアとしての専門性が身に付かない」(48.9%)の選択率も4番目に高く、ガートナーは、「IT運用担当者として働いていても、技術者としての専門性、特に最新のクラウドネイティブ技術を獲得する機会がないことに対する不安を抱えている現状がうかがえる」としている。

 ガートナーは、「技術を身に付けるには現職を辞めて早く別の仕事に就かなければならないと考えているIT運用担当者も多い。IT運用担当者にとって魅力ある職場を形成するためにには、新技術を含めたテクノロジーを習得する機会を提供できるよう努める必要がある」と指摘する。

自動化などを導入して運用の負荷を下げよ

 2番めに多かった回答は「IT運用担当は他のIT部門のメンバーと比べて昇給・昇進が遅い」(59.3%)で、3番めは「ワークロードが高く重責であるにもかかわらず、待遇が悪い/評価されない」(57.1%)だった。また、「オンコールのシフトや残業が多く、永年勤続ができない」の選択率も約3割(30.8%)に達している。

 ガートナーは、IT運用担当者は日常的な運用業務の責任が重く、繁忙になりがちであるにも関わらず、他のIT担当者よりも待遇や評価が悪いと感じていると指摘。解決策としては、運用負荷を下げるインフラ自動化などのツールを導入する、付加価値が低い仕事を廃止・排除する、待遇に関する合意形成プロセスを見直すなどが必要になるとしている。

 不安・不満を解消するためのビジョンとしてガートナーは次のように指摘している。「短期的には、運用の自動化などを取り入れて、新技術の習得が可能で他部門からの評価が得られる形態へと仕事を変化させることが求められる。中長期的には、評価に応じた合理的な待遇を得られる職場に進化させることが求められる」。

関連キーワード

Gartner / システム管理者 / IT部門 / ユーザー調査

関連記事

トピックス

[Sponsored]

IT運用担当者の6割超が「新技術に触れる機会がない」と回答、キャリアパスに不安─ガートナーガートナージャパンは2023年9月14日、IT運用担当者のキャリアパスに関する国内ユーザー調査結果を発表した。過半数の回答者が自身のキャリアパスに何らかの不安や不満を抱えていることが分かった。不安や不満の理由として、新しい技術に触れる機会がないこと、IT部門の他のメンバーと比べて昇給・昇進が遅いこと、責任の重さに対して待遇が悪いことなどが挙がった。

PAGE TOP