[調査・レポート]

「業務効率化だけでなく、産業革命の始まりと捉えよ」─ガートナーの生成AIハイプサイクル

LLM、基盤モデルなど8項目が“過度な期待のピーク期”に

2023年10月12日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ガートナージャパンは2023年10月12日、「生成AIのハイプ・サイクル:2023年」を発表した。生成AIに関連した24項目から、ファウンデーションモデル(基盤モデル)や大規模言語モデル(LLM)、プロンプトエンジニアリングなど8つを「過度な期待のピーク期」にプロットしている。「黎明期」の最初期には、エッジLLMやベクトルデータベースなどが登場している。また、生成AI対応仮想アシスタントは「幻滅期」の直前にあるが、現時点で幻滅期以降のフェーズにプロットされた項目はない。

 米ガートナー(Gartner)のハイプサイクル(Hype Cycle)は、テクノロジーやサービス、関連する概念、手法などの項目の認知度や成熟度を視覚的に示したグラフである。テクノロジーが普及するまでに通過する5つの時期をハイプカーブと呼ぶ曲線で表し、各項目が現在どの時期にあるのかを示している。今回発表した生成AIのハイプサイクルでは合計24項目をプロットしている(図1)。

図1:「生成AIのハイプ・サイクル:2023年」(出典:ガートナージャパン、2023年10月)
拡大画像表示

 「過度な期待のピーク期」には、ファウンデーションモデル(基盤モデル)や大規模言語モデル(LLM)、プロンプトエンジニアリングなど8つの項目をプロットしている。このうち、生成AI対応仮想アシスタントは、まもなく幻滅期に移行する位置にあるが、現時点で幻滅期以降にプロットされた項目はない。また、「黎明期」の最初期には、エッジLLMやベクトルデータベースなどをプロットしている。

 ガートナーは「2026年までに、80%以上の企業が生成AIのAPIやモデルを使用して、生成AIに対応したアプリケーションを本稼働環境に展開するようになる」と予測する。この予測は、2023年時点での本稼働の状況(5%未満)と比べて大幅な増加になるが、「多くの業界において生成AIへのニーズが増大している」という。

 ガートナージャパン ディスティングイッシュトバイスプレジデント アナリストの亦賀忠明氏によると、現在の生成AIはまだ初期の段階であり、2030年に向けて、AIエージェント、汎用人工知能(AGI)、超知性(スーパーインテリジェンス)といったさらなる進化が予想されるという。

 「すべての企業は、生成AIの出現を単に業務効率化の話だけとして捉えるのではなく、産業革命の始まりと捉える必要がある。抜本的に企業、組織、業務の在り方、人々の役割と能力の見直しを図っていく必要がある」(亦賀氏)

●Next:今後10年で企業・組織に多大な影響をもたらす生成AI技術は?

この記事の続きをお読みいただくには、
会員登録(無料)が必要です
  • 1
  • 2
関連キーワード

Gartner / 生成AI / ハイプサイクル

関連記事

トピックス

[Sponsored]

「業務効率化だけでなく、産業革命の始まりと捉えよ」─ガートナーの生成AIハイプサイクルガートナージャパンは2023年10月12日、「生成AIのハイプ・サイクル:2023年」を発表した。生成AIに関連した24項目から、ファウンデーションモデル(基盤モデル)や大規模言語モデル(LLM)、プロンプトエンジニアリングなど8つを「過度な期待のピーク期」にプロットしている。「黎明期」の最初期には、エッジLLMやベクトルデータベースなどが登場している。また、生成AI対応仮想アシスタントは「幻滅期」の直前にあるが、現時点で幻滅期以降のフェーズにプロットされた項目はない。

PAGE TOP