[市場動向]

NEC、水中音響通信による海中での双方向・長距離通信を実証、2024年度に商用化

2023年11月6日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NECは2023年11月6日、水中音響通信による海中での双方向・長距離通信に関する実証実験の結果を発表した。NTT、三菱重工業の協力の下、通信モジュールを実験用の水中無人探査機に組み込み、2.5km離れた海域を2~3ノットで航行する水中無人探査機を遠隔から制御、水中無人探査機が収集したデータを受信する双方向通信のユースケースを検証した。NECは今後、通信モジュールの小型化やパートナー各社との実証実験を進め、2024年度の商用化を目指す。

 NECは、NTT、三菱重工業の協力の下、水中音響通信による海中での双方向・長距離通信について実証実験を行った。通信モジュールを三菱重工の実験用水中無人探査機(写真1)に組み込み、2.5km離れた海域を2~3ノットで航行する水中無人探査機を遠隔から制御し、水中無人探査機が収集したデータを受信する双方向通信のユースケースを検証した(図1)。

写真1:水中音響通信モジュールを組み込んだ実験用水中無人探査機の外観(出典:NEC)
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図1:水中音響通信を用いた海中での双方向・長距離通信の実証実験の概要(出典:NEC)
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 「洋上風力発電やブルーカーボンなど海洋の活用研究が進む中、設備管理や海中の調査のため、水中IoT機器や自律型無人探査機(AUV)、水中ドローンなどの運用ニーズが高まっている。これらを効果的に運用するため、安定した水中通信の実現が喫緊の課題となっている」(NEC)

 NECによると、水中音響通信は、海中での安定した通信を実現可能な技術だが、特性上、移動する機器との通信や水平方向の通信には課題があったという。「移動体への通信にはドップラー効果の影響があり、水平方向には海面・海底などへの反射・屈折によるマルチパス波の影響がある」と説明している。

 NECは今回、これまで培ってきた送受波器技術や水密技術などのソナー関連技術を応用すると共に、マルチパス波の影響を除去するNTTの時空間等化技術を組み合わせ、移動する機器間で水平方向の双方向・長距離通信を安定して行えることを実海面で実証実験を行った。

 実証実験の結果、水中音響通信は、深さ方向だけではなく、水平方向の数kmの範囲で水中無人探査機や水中ドローンを制御し活用するなど、海洋産業における各種のユースケースに適用可能であることが判明したという。

 NECは今後、水中音響通信を用いた水中IoT機器を利用可能なシステムを開発する。通信モジュールの小型化やパートナー各社との実証実験を進め、2024年度の商用化を目指す。

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