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カゴメ、南欧のトマト農場でAIとIoTを活用、給水量を節約して収穫増

2023年11月8日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

カゴメとNECは2023年11月8日、北イタリアとポルトガルのトマト農場にAIとIoTを活用した自動給水・施肥システムを導入したと発表した。通常は1日に1回の給水を複数回に分け、給水によるストレスを与えずに栽培する仕組みを実現。北イタリアでは同年4月~8月に実証試験を行い、未導入区画と比べて少ない給水量で収穫増を達成した。カゴメとNECの合弁会社で、AIを活用して加工用トマトの営農支援を行うポルトガルのDXAS Agricultural Technologyがシステムを導入した。

 カゴメとNECは、AIを活用して加工用トマトの営農支援を行う合弁会社ディクサスアグリカルチュラルテクノロジー(DXAS Agricultural Technology)を、2022年9月にポルトガルに設立している。出資比率はカゴメが66.6%、NECが33.4%である。

図1:北イタリアとポルトガルのトマト農場に導入した、AIとIoTを活用した自動給水・施肥システムの概要(出典:カゴメ、NEC)
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図2:管理農場全体の土壌水分状態、病害リスクなどを可視化(出典:カゴメ、NEC)
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 DXASは、北イタリアとポルトガルのトマト農場に、AIとIoTを活用した自動給水・施肥システムを構築した。NECの農業ITシステム「CropScope」に備わる自動で給水と施肥を制御する機能を利用している(図1・2)。

 導入したシステムは、通常なら1日1回に限られていた給水を複数回に分けて、給水によるストレスを与えずに栽培することができる。少量多頻度灌漑(かんがい)と呼ぶ手法で、作物が必要とする量の水や肥料を多数回に分けて少しずつ与え、作物にとって最適な土壌水分量を保つ栽培を実現した。

 北イタリアでは、2023年4月~8月に実証試験を実施した。CropScopeを活用していない区画と比べて、約19%少ない給水量で収量が約23%増加した。CropScopeを導入済みの地域とは気候や土質などが異なる新たな栽培環境でも良好な成果が得られることを確認したとしている(表1)。

表1:北イタリア試験農場における取り組みの概要と結果(出典:カゴメ、NEC)
  CropScope導入区画 比較対照区画
場所 イタリア・Ferrara(フェラーラ)
トマト品種 「UG11227」
面積 1.25ha 1.7ha
収量 148.8t/ha 120.5t/ha

 また、ポルトガルでは、熟練指導者の技術も組み合わせて、約21ヘクタール(2圃場合計)の大規模な農場で、1ヘクタールあたり148トンの高い収量を得ている(表2)。今後、カゴメ、NEC、DXASの3社は、再現性を確認しながら導入地域を拡大し、営農現場における水不足の問題を解消するとしている。

表2:ポルトガルDXAS大規模農場における取り組みの概要と結果(出典:カゴメ、NEC)
  CropScope導入農場A CropScope導入農場B
場所 ポルトガル・Vila Franca de Xira(ヴィラフランカデシーラ)
トマト品種 「UG16112」を含む複数品種
面積 13ha 8ha
収量 144t/ha 161t/ha
平均収量 148t/ha
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