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富士通、無線通信をAIで省電力化する技術を開発、マルチベンダー接続試験で20%超の省電力効果

2023年12月20日(水)IT Leaders編集部

富士通は2023年12月19日、無線通信の電力消費を抑制するAI技術を開発したと発表した。位置情報の分布からAIが通信トラフィックを推定する仕組みで、通信事業者のコスト削減や新規サービス展開の早期化に貢献するとしている。マルチベンダー接続試験では、基地局ごとにトラフィックを推定する従来の仕組みと比べて20%以上の省電力効果を実証した。

 富士通は、無線通信の電力消費を抑制する仕組みとして、ユーザーの位置情報の分布から通信トラフィックを推定するAI技術を開発した。従来の仕組み(数百m~数km四方の単位で設置された基地局ごとのセル単位でのトラフィック推定)と比べて20%以上の省電力効果を実証した。通信事業者のコスト削減や新規サービス展開の早期化に貢献するとしている。

図1:省電力アプリケーションに搭載したAI技術の概要(出典:富士通)
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 2つのAI予測技術で省電力アプリケーションを構築している。1つは、ユーザーの位置分布データから100m四方のエリア単位で通信トラフィックを時系列に予測するアンサンブル時系列予測技術である。もう1つは、エリア単位でカバーしている複数基地局の中から、スリープするセルと起動するセルの組み合わせを選択し、最も省電力効果の高い組み合わせに迅速に切り替える組み合わせ最適化技術である(図1)。

 開発した省電力アプリケーションを、富士通のネットワーク運用管理装置「Virtuora Service Management and Orchestration(Virtuora SMO)」に実装し、通信ネットワーク測定器ベンダーである米VIAVI Solutionsの検証装置「TeraVM RIC Test」を用いて2023年11月17日に接続試験を行った(図2)。

図2:接続試験の概要(出典:富士通)
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 接続試験では、マルチベンダー相互接続およびエンドツーエンド接続評価を行って有効性を検証した。

 使用した装置・機器はいずれも、業界団体O-RAN(Open Radio Access Network)のマルチベンダー仕様に準拠している。Virtuora SMOには、Closed RAN/Open RAN、マルチRATの共存が可能なRAN統合制御機能「Virtuora Mobility Controller」を実装している。検証装置のTeraVM RIC Testは、Open RAN RIC、xApps、rApps検証用AIトレーニング、テスト、測定などの機能を提供する。

 接続試験での役割として、富士通はマルチベンダーでの接続評価を、VIAVI SolutionsはRANシナリオの作成と省電力の分析監視を担当した。また、AT&T Communicationsなどの通信事業者がアドバイザーとして接続試験に参加して通信事業者の視点でテスト項目などを検証、省電力アプリケーションを実装したVirtuora SMOにはマルチベンダーRAN接続の能力があることを実証した。

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