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COVID-19患者情報を、各病院の電子カルテから自治体の感染症管理システムに自動登録─広島大とNECが実証開始

情報入力の二度手間を廃して情報収集・管理を効率化

2023年12月22日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

広島大学とNECは2023年12月22日、個々の病院で電子カルテに入力した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の情報を、広島県の感染症サーベイランスシステムに自動登録するシステムを構築し、広島赤十字・原爆病院で実証を開始したと発表した。情報入力の二度手間を廃して医療従事者の業務負荷を軽減し、感染症情報の収集・管理を効率化することを目指す。

 広島大学(本部:広島県東広島市)とNECは、個々の病院で電子カルテに入力した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の情報を、広島県の感染症情報共有システム(感染症サーベイランスシステム)に自動登録するシステムを構築し、広島赤十字・原爆病院(同県広島市)で実証を開始した。情報入力の二度手間を廃して医療従事者の業務負荷を軽減し、感染症情報の収集・管理を効率化することを目指す(図1)。

図1:共同研究による実証で目指す、感染症情報の収集サイクル(出典:広島大学、NEC)
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 従来の医療現場では、個々の病院・医療機関での電子カルテシステムへの入力に加え、各自治体の感染症サーベイランスシステムへの入力が必要で、入力作業が2重に発生し、医療従事者の業務負荷や自治体への報告の遅延などが課題だった。また、自治体が週次で作成する感染症レポートはメールで配信しているため、電子カルテシステム上で参照できず、医療現場でのタイムリーな活用が難しかったという。

 今回の実証は、広島赤十字・原爆病院、広島県医師会、広島県健康福祉局の協力を得て実施する。NECによると、病院の電子カルテデータと自動連携するシステムへの取り組みは全国で初めてとなる。

電子カルテシステムに感染症報告テンプレートを用意

 実証では、NECの電子カルテシステム「MegaOakHR」と、広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学による感染症報告様式「広島県新型コロナウイルス感染症版J-SPEED(広島県COVID-19版J-SPEED)」を用いた感染症情報収集の仕組みをシステム化する。

 利用の流れとして、広島赤十字・原爆病院の担当者が、COVID-19患者の情報を、電子カルテシステムに実装した「広島県COVID-19版J-SPEEDテンプレート」に沿って入力する。その情報は、広島県医師会の地域医療ネットワーク「HMネット」を通じて、感染症サーベイランスシステムに自動登録される。また、広島県健康福祉局による感染症レポートと電子カルテシステムを連携することで、診療時にタイムリーに感染症情報を確認できるようになる。

 広島大学とNECは、実証によって医療従事者の業務負荷がどのぐらい軽減されるのかを定量的に測定。得られた知見を基に、COVID-19に関する情報収集のさらなる効率化を図っていく。将来的には、COVID-19以外の各種感染症情報を収集する汎用的な仕組みとして全国に拡大することを目指している。

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