[調査・レポート]

海外に後れをとるDMARC導入─日経225企業の導入は6割、半数は監視設定のみ─プルーフポイント調査

DMARCの導入・運用に関するグローバル調査から

2024年1月23日(火)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

セキュリティベンダーの日本プルーフポイントは2024年1月23日、なりすましメール対策の送信ドメイン認証技術「DMARC(ディーマーク)」の導入・運用に関するグローバル調査(2023年12月実施)の結果を発表した。日経225企業のDMARC導入率は60%で、海外企業と比べて遅れている。また、DMARC運用設定では47%がNone(監視のみ)で、Reject(拒否)やQuarantine(隔離)などの厳格なポリシーを設定している企業は13%にとどまることが判明した。

 ビジネスで大量のメールを送信する企業において、なりすましメール対策の送信ドメイン認証技術「DMARC(ディーマーク)」の導入が急務になっている。米グーグルと米ヤフーは2024年2月より、両社のメールサービスを利用する企業に、送信条件に照らしてメール送信時のアクセス制御を厳格化することを発表している(関連記事対応急務!なりすまし/迷惑メール対策「DMARC」の仕組みと効果[前編]グーグル「メール送信者のガイドライン」の急所とDMARC対応の実際[後編])。

 そうした中で、セキュリティベンダーの米プルーフポイント(Proofpoint)は2023年12月にDMARCの導入・運用に関するグローバル調査を実施。日本プルーフポイントが、海外との比較を含めた調査結果の概要を発表した。同社はDMARC関連製品・サービスとして、メールサーバーやDMARCレポート可視化サービス「Proofpoint EFD」などを提供している(関連記事日本プルーフポイント、なりすましメール対策でDMARCレポートの可視化サービス)。

 図1は18カ国のDMARC導入率である。日本企業(日経225企業)で導入している企業は60%で、全般に他国と比べて遅れをとっている。

図1:主要18カ国のメール送信企業におけるDMARC導入率(出典:日本プルーフポイント)

 図1が示すように、DMARCの導入状況は国・地域によって偏りがある。欧米・オーストラリアでは主要企業の70%台~100%近くの導入率で上位にある。中東・アフリカは50%台~80%台、日本を含むアジアは30%台~60%だった。

 トップだったのはデンマーク(OMXC25企業)の100%、以降、フランス(CAC40企業)の98%、オランダ(AEX企業)の96%、ドイツ(DAX40企業)の93%、米国(Fortune1000企業)の92%の順である。

 図2は、なりすましメールへの対処を宣言するDMARCの運用ポリシーの設定状況である。日本企業の場合、Reject(拒否:最高レベルの保護)やQuarantine(隔離:隔離フォルダに移動)など厳格なポリシーを設定している企業は13%にとどまる。Reject(拒否)は4%、Quarantine(隔離)は9%で、残りはNone(監視のみ)である。

図2:日経225企業のメール送信企業におけるDMARCの導入状況(出典:日本プルーフポイント)
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 図3は、DMARCの運用ポリシー別に見た結果である。導入率で3位のオランダでは、Reject設定が68%と突出している。このグラフで見ると、日本の導入の遅れや、厳格なポリシーを設定しない、対策への消極さがよくわかる。

図3:主要18カ国のメール送信企業におけるDMARCポリシー別導入率(出典:日本プルーフポイント)
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●Next:前提となるSPF/DKIMと、両認証を補完するDMARCの仕組み

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