[架け橋 by CIO Lounge]

今、求められるIT部門の役割をその変遷から考える

島津製作所 シニア・エグゼクティブ 馬瀬嘉昭氏

2024年3月13日(水)CIO Lounge

日本を代表する百戦錬磨のCIO/ITリーダー達が、一線を退いてもなお経営とITのあるべき姿に思いを馳せ、現役の経営陣や情報システム部門の悩み事を聞き、ディスカッションし、アドバイスを贈る──「CIO Lounge」はそんな腕利きの諸氏が集まるコミュニティである。本連載では、「企業の経営者とCIO/情報システム部門の架け橋」、そして「ユーザー企業とベンダー企業の架け橋」となる知見・助言をリレーコラム形式でお届けする。今回は、島津製作所 シニア・エグゼクティブでCIO Lounge正会員メンバーの馬瀬嘉昭氏からのメッセージである。

 皆さん、こんにちは。私は1980年に精密機器や測定機器、医療機器などを製造する島津製作所に入社し、44年間、同社で勤務してきました。さまざまな職務を担った中で最も長いのがIT部門であり、在籍年数は累積25年に及びます。この間、IT部門に求められる役割は大きく変遷し、非常に重要な部門になったことを実感しています。以下では4つの段階に分けてその変遷を述べながら、今後のIT部門の役割について説明させていただきます。

 入社した1980年代前半当時はバッチシステムからオンラインシステムへの切り替え期でした。私自身、経理・会計業務のオンライン化に取り組みました。当時はパッケージなどありませんから、経理・会計部門と仕様の相談をしながらシステムを開発しました。

 そのときの目的を思い起こすと、経理・会計部門の業務効率の改善とともに手計算によるミスを撲滅することでした。つまりIT部門の役割は、特定の限定された部門や業務をシステム化することだったわけです。私はというと、プログラミングの技術の習得とともに、経理・会計業務の知識、特に経理仕訳のノウハウを身につけました。

 この仕事の後、営業関連業務のシステム化に取り組むことになりました。具体的には海外の販売系子会社のシステム開発と、国内では物流を含む販売システムの開発です。当時はパッケージソフトウェアが出回り始めた時期であり、海外販売会社のシステム開発ではパッケージを活用しました。個別の国や地域ごとにシステム化したため、取引先や品目などのマスターファイルの統一にかなり苦労したことが記憶に残っています。

 国内販売のシステム化では、当時普及し始めたEDIを活用して代理店や取引先とのネットワークを構築しました。それを通じて蓄えたデータを活用することがポイントの一つでした。当時、よく使った言葉に「MIF(Machines In the Field:市場における累積稼働台数)」があります。営業部門長と一緒に、代理店チャネルの管理(効率性、施策のデータによる検証)にMIFを活用し、時期により市場カバー率の向上を目指す時期と勝率の拡大を目指す時期を使い分け、代理店評価などにも取り組みました。

 この頃、IT部門に求められた役割を分析すると、全体最適の視点でシステムを構築すること、そしてデータを活用して事業の拡大に寄与することへと変わったと考えます。実際に私もマテリアルフローやキャッシュフロー全体として業務やシステムを把握・理解しました。この経験は、その後に本社の海外営業部長や中国に赴任して事業責任者になった時、大いに役立ったと思っています。

●Next:内部のサポートから事業の成長を推進部門へ、変化するIT部門

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