[金谷敏尊の「ITアナリストの仕事術」]

第16回「一歩先の説得術」

2015年1月6日(火)金谷 敏尊(株式会社アイ・ティ・アール 取締役/プリンシパル・アナリスト)

ビジネスの現場で有利にことを進める上で、相手に自分の意見を汲んでもらうことが重要なのは言うまでもない。しかし、人は自分の意見に常に耳を傾けてくれるわけでもないし、反対の意見を持たれていることも少なくない。そのような時、いかに思いを変えてもらうかについて考えてみたい。

 職場や家庭で、自分の意見がすうっと通るようであればこれほど楽なことはない。しかし実際は納得してもらえなかったり、反対されたりとうまく行かないことが多い。そうすると、往々にして力技に頼ってしまいがちだ。例えば、(相手が目下であれば)強要する、(考えが違っていれば)反論する、(理詰めで)論破する、(反対されないように)威圧するといった具合である。自分に相応の力があれば、それでうまく説得できる場合がある。

 最近は何かと「◯◯力」とタイトルした本が出回り、現在の世の中は「力」を偏重しているように思える(当方も「俯瞰する力」などと銘打ってコラムを書いているのだから人のことなど言えた義理ではない)。力が大切なのはいうまでもない。権力(立場)、学力、知力、体力などを備えれば、ビジネスシーンで有利である。商談や会議を円滑に進められるだろうし、交渉や調整もやり良くなるだろう。しかし、人に思いを変えてもらうには、それしか方法がないのだろうか。「力」だけに頼ってしまうのはいかがなものか。

 というのは、権力や知力といった「力」は、自分が相手を上回っていれば効果的だが、未来永劫通用するわけではない。優秀な人材は続々と輩出され、いつ自分を脅かす有力者が現れないとも限らない。それに、力技でしぶしぶ首を縦に振らせることができても、相手の腑に落ちていなければ、遺恨を残すという結果にもなりかねない。正面から反論すると、かえって相手が頑なになる場合もあるだろう。一例をあげると、それこそ敏感期の幼児などは、なかなか言うことを聞かない。言えば言うほど思い通りに動いてくれないものだ。

敏感期の子ども

 よく見る光景だが、幼稚園へと急ぐなか、子供が電柱に好きなキャラクターの描かれたポスターを見つけて「これを見たい」と母親にせがむことがある。「時間がないから駄目」と一喝し、腕をとって強引に引き離したが最後、待ち受けるのはギャン泣きの洗礼。かといって寄り道する余裕などなく、「今月に入って早くも3度目の遅刻…」と憂鬱な気持ちがよぎってくる。

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