[市場動向]

自治体の課題解決に企業のリーダーが挑む「コーポレートフェロー」制度が本格始動へ

企業の将来を担う人材育成の場として注目

2015年2月4日(水)柏崎 吉一(エクリュ 代表社員)

一般社団法人コード・フォー・ジャパン(Code for Japan)が、地方自治体に企業のリーダー人材を派遣し、職員や市民とともに地域課題解決に取り組むコーポレートフェローシップ制度を2015年から本格始動する。それに先立ち、2015年1月7日より受け入れ先となる自治体の募集が始まった。市民コミュニティ、企業、行政・自治体の三者それぞれにとって「三方良し」を目指す制度。企業にとってはリーダー人材の育成やオープンイノベーションによる新規事業創出の機会として、一方で派遣される社員にとっては自身の能力開発やキャリア形成のきっかけとなりそうだ。

エース級の民間人材を自治体に派遣

 SAPジャパンの奥野和弘氏(ソリューション&イノベーション統括本部 テクノロジーソリューション部 シニアソリューションプリンシパル)は、オープンデータの推進に注力する福井県鯖江市の市役所に、2014年10月半ばから11月末までの約1カ月半の間、市職員に混じって勤務した。一般社団法人コード・フォー・ジャパンが募集した「コーポレートフェロー」として、である(コーポレートフェローの制度の詳細は後述)。

 鯖江市が今回、コーポレートフェローを活用した理由は、「オープンデータ戦略の策定」を進めるため。オープンデータ戦略で前例のない取り組みに挑戦し、一定の成果を出している鯖江市が、トップランナーとして走り続けるために何をすればよいかに悩んでいたことが背景にある。

SAPジャパンの奥野和弘氏

 奥野氏は、ITエンジニアとして、これまで16年ほどIT業界に身を置いていた。SAPジャパンに勤めたのは2010年4月からだ。SAPジャパンは、オープンデータの推進などで鯖江市を技術面などからサポートしてきた一社である。奥野氏をコーポレートフェローとして指名したのは、同社のバイスプレジデント/Chief Innovation Officerの馬場渉氏だった。奥野氏は関西の出身だが、鯖江市と直接つながりはない。ただ、これまで主に民間企業を顧客とする様々なプロジェクトを通じて「社内でトップ5%に入る実績を挙げてきた」(2014年10月11日開催のコード・フォー・ジャパン・サミットでの馬場氏の発言より)。

 奥野氏は、鯖江市において課題を探し、1カ月半で成果を出せと言われて最初は戸惑ったという。「公共系や自治体案件の経験が特に豊富というわけでもなかったが、IT分野であれば、これまでの経験を基に何とかなるだろう、何でもかかってこい、という思いで挑んだ。結果的には、通常業務を離れて市の一職員として仕事をする中で、日頃得られない、大きな学びを得ることができた」と奥野氏は振り返る。

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