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激しい振動の時系列データに対応したDeep Learning技術を開発―富士通研究所

2016年2月18日(木)IT Leaders編集部

富士通研究所は2016年2月16日、新たなDeep Learning技術を開発したことを発表した。時系列データから幾何学的な特徴を抽出することで、激しい振動の時系列データを高精度に分類できる新技術となっている。

 富士通研究所が新たに開発したDeep Learning技術は、最先端のカオス理論や位相幾何学を活用したもの。従来難しいとされてきた、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)機器などに搭載されているセンサーから取得される、変動の激しい複雑な時系列データを高精度に自動分類できる。

 新技術の処理手順としては、まずカオス理論に基づいた時系列データの図形化を行う。力学的な運動が複雑に組み合わされた結果として、表面的に表れるセンサーデータの数値の時間変化をグラフ上にプロット(描き入れ)していく。すると、運動の仕組みごとに特徴的な軌跡を描く、つまり図形化されるというカオス理論を活用して、対応する時系列データを図形として区別することが可能となる。

 次に、位相幾何学に基づいた図形の数値化を行う。前の手順で図形化されたセンサーの時系列データについて、位相幾何学に基づくデータ分析手法の一つであるトポロジカル・データ・アナリシスを用いて、その特徴を数値化する。図形に含まれる穴の数や大まかな形状を特徴として分析し、独自のベクトル表現に変換する。

 トポロジカル・データ・アナリシスとは、データをある空間に配置された点の重合とみなし、その集合の幾何的な情報を抽出するデータ分析手法のこと。

 こうして得られた独自のベクトル表現を学習する「畳み込みニューラルネットワーク」を新たに設計、これにより複雑な時系列データの分類が可能になった(図)。

(図)新たなDeep Learning技術による時系列分類イメージ(出所:富士通研究所)
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 富士通研究所は、ウェアラブル機器に搭載されたジャイロセンサーの時系列データをもとに、機械学習やデータマイニングのデータ配布サイトであるUC Irvine Machine Learning Repositoryのベンチマークテストを行った。その結果、既存の手法に比べて精度が約25%向上し、約85%の精度を達成した。脳波の時系列データからの状態推定を行う分類では、既存手法より約20%精度が向上し、約77%の精度を達成した。

 今回開発を発表した技術により、Deep Learning技術の適用できるデータの範囲が時系列データまで広がる。また、変動の激しい時系列データを高精度に分類できるようになることで、IoTを活用した設備の異常検知や故障予測、バイタルデータを分析することによる医療診断・治療支援など、幅広い分野へ人工知能を適用できるようになるとしている。

 この技術を、富士通のAI技術体系である「Human Centric AI Zinrai」のコア技術として2016年度中の実用化を目指す。今後は、画像・音声・時系列以外のデータへのDeep Learning技術の適用拡大を進めていくとしている。
 

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