[市場動向]

TRONの坂村氏が主導するIoTの新たなプロジェクトが始動

2016年5月6日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

国産組込みOSである「TRONプロジェクト」の提唱者として知られる東京大学の坂村健教授は現在、モノとモノをクラウドを介して連携させる「アグリゲート・コンピューティング」を提唱している。「いつでもどこでも」の「ユビキタス・コンピューティング」の発展形だ。坂村氏は、この考え方をそのままIoT(Internet of Things:モノのインターネット)に適用させた新プロジェクトの発足を2016年4月27日に発表した。世界6カ国7社の半導体メーカーが参加してスタートしたのが「IoT-Engineプロジェクト」だ。

 坂村氏が東京大学大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センターの協力で開発を進めている、オープンな規格に基づいたIoT向けのプラットフォームが「Open IoT Platform」。そのOpen IoT PlatformにつながるIoTチップのための標準開発環境が「IoT-Engine」だ。

 IoT-Engineの基本的な考え方は、あらゆる処理はクラウド側で行い、モノには最低限の機能のみを搭載するというものだ。ここでいう「モノ」とは、「エッジノード」つまり組込みシステムを搭載したIoTデバイスのことだ。坂村氏は「高度な機能はすべてクラウドで処理し、とにかくエッジノードは軽い必要がある」と力説している。

 それを実現するのが、モノとモノをクラウドを介して連携させるというアグリゲート・コンピューティングの考え方だ(図1)。組込み製品は、ネットワークを介して特定のクラウドに直結させる。そのクラウドがAPIをオープン化し、他のクラウドと連携することでモノとモノの連携も成立する。

(図1)アグリゲート・コンピューティング・モデルによるIoT(出展:IoT-Engineプロジェクト資料)
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 エッジノードを肥大化させている要因のひとつとして、セキュリティ対策が上げられる。多くのIoTソリューションはデバイス側にもある程度の機能を持たせており、複雑なネットワーク連携が可能になっている。坂村氏はそのことが「つなぎ先を変更される」といったセキュリティリスクの要因となっていると指摘している。組込み機器もセキュリティ対策が必要となり、肥大化を招いているというのだ。

 そこで考えたのが、エッジノードをトンネリングでクラウドに直結させるという方法だった。特定のクラウドとの常時直結だけをエッジノードに課すようにすれば、少ない計算資源で単純かつ強固なセキュリティが実現できる。エッジノードとクラウド間は仮想的に常時直結されている状態のため、ローカルで複雑なガバナンス管理をする必要がなくなる。複雑な管理は、複数のエッジノードを管理するクラウド側の仕事となる。

 このクラウド側のプラットフォームとなっているのが、Open IoT Platformだ。こちら側では、エッジノードとは変わってビッグデータ解析や異種データベース統合、異種API統合、セキュリティ、アクセスコントロール、ガバナンスポリシーと、ありとあらゆる処理を行う。本来エッジノードで行っていた処理もすべてクラウド側に持ってきてある。

 

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