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[インタビュー]

再生水プロジェクトで世界有数のデータセンター集積地に―バージニア州ラウドン郡の実践

米ジョージ・ワシントン大学 工学・応用科学スクール 教授講師 ジョン・E・ビショフ博士

2016年5月18日(水)河原 潤(IT Leaders編集委員/データセンター完全ガイド編集長)

米バージニア州北部、ワシントンDC郊外に位置するラウドン郡(Loudoun County)。自然豊かなこの地帯に、驚くほどの数のデータセンターが集積している。要因は3つ。1つは高速なネットワーク接続環境、もう1つは安価な電力、そして3つ目にして決定的な要因となったのが、同郡が推進した再生水プロジェクトだ。ICT分野での長年の経験と知見をプロジェクトに注いだ、米ジョージ・ワシントン大学 工学・応用科学スクール 教授講師のジョン・E・ビショフ博士(John Bischoff D.Sc.)に、画期的な「データセンター街おこし」の軌跡を聞いた。

のどかな田園地帯にデータセンターが集まる理由

――ラウドン郡にデータセンターが続々建設されるようになった最初のきっかけは何だったのでしょう。

 この地に最初のデータセンターを建設したのがAOL(America Online)だ。1990年代半ば、私は倍々で会員数を伸ばしていたAOLに在籍し建設・構築・運用に携わった。インターネットが全世界の企業や家庭に広がろうとしていた時期で、新しいデータセンターにはたちまち膨大なインターネットトラフィックが集まった。

写真1:米ジョージ・ワシントン大学 工学・応用科学スクール 教授講師のジョン・E・ビショフ博士

――インターネットと言えばAOLという時代ですね。

 そう。AOLがラウドン郡(画面1)を選んだのには理由があって、1980年代後半から1990年代初めにかけて、UUNETがバージニア州アッシュバーンに大規模な光ファイバーのインターネットエクスチェンジ(IX)ポイントを設置したことがある。MAE(Metropolitan Area Exchange)-Eastと呼ばれているIXだ。

画面1:Googleマップが示す米バージニア州ラウドン郡
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 当時のラウドン郡は、田園が広がる500平方マイル(約1,300km2)の土地に人口がわずか8万人の、大変のどかな田舎街だった。AOLやそれに続いたベライゾン(Verizon Communications)などのデータセンターが知られ始め、MAE-Eastの恩恵にあずかろうと多数のデータセンター施設がこの郡に立地するようになった。

 実にさまざまな企業、事業者が光ファイバーを引いてきてはMAE-Eastにつなごうとした。また、MAE-Eastは米連邦政府のデータ需要にも応えるものであり、地理的に北・南部だけでなく、西部にも障害の少ない電子通信路を確保するのにうってつけだった。

図1:ラウドン郡のデータセンター集積地(出典:グリーン・グリッド)
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 その結果、世界中のインターネットトラフィックの実に70%がここを通るまでになった。ジョージア州のグーグル、ノースカロライナ州のアップル、それからニューヨーク証券取引所というそうそうたるメガデータセンターもMAE-Eastを通過する。

 日本からのトラフィックも西海岸のサンノゼを経由してここを通り、さまざまなところに流れていく。この地図の黄色の部分がデータセンターの集積ぶりを現している(図1)。現在、トータルの床面積は900万平方フィート(約84万㎡)にも達する。これは建物ではなく、ホワイトスペースと呼ばれるマシンルームだけでだ。

 ここにデータセンターを構える企業は、自社用データセンターのみの場合もあるが、大半はユーザーにホスティングを行う事業者だ。1つの巨大なデータセンターに多数の事業者が入っており約3,000社に達している。集積が進んだことで、ここには日々膨大なインターネットトラフィックが流れる。その量は最大で世界全体のインターネットトラフィックの70%にも達する。

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