[ザ・プロジェクト]

クラウド移行は無駄な機能の削ぎ落としから―ANA成田エアポートサービス

2016年9月9日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

成田空港で旅客案内や航空機の地上支援作業を行うグランドハンドリング業務をこなすANA成田エアポートサービスは、生産管理システムの保守切れを迎え、新たなシステムをクラウドサービス「kintone」で構築した。旧システムから必要な機能だけを切り取り、「粘土」と称されるkintoneで身の丈にあったシステムを開発できているという。この成功は、他のグループ会社にも影響を与えているようだ。

 2006年に「クラウドコンピューティング」という言葉が誕生してから10年が経ち、今やクラウドが完全に市民権を得たと考える人も多いことだろう。しかし、総務省の「平成28年度版 情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は44.6%で、半分に満たない。利用している企業の中でも、利用サービスの上位を占めているのは、電子メール(51.9%)やスケジュール(35.9%)など情報系システムが多く、業務系システムで使っている割合は未だ低いのが現状だ。

 スクラッチ開発した業務システムの保守切れはクラウド移行の絶好のタイミングといえるが、そんな情報システム担当者の考えとは裏腹に、未だに存在する「クラウドの壁」に阻まれている企業も少なくないようだ。成田空港内に本拠を置くANA成田エアポートサービスも、そんな企業の1社だった。

(写真1)牽引車による航空機の移動もANAエアポートサービスの業務のひとつだ(写真提供:ANAエアポートサービス)

 同社は、ANAおよび成田空港を利用する外資系航空会社に対し、カウンターでの案内や搭乗サポートを行う旅客ハンドリング、マーシャリングと呼ばれる到着時の航空機誘導やトーイングカー(牽引車)による航空機の移動、航空貨物や手荷物の積み下ろし、またそのハンドリング業務で使用する特殊車両のメンテナンス、給油サービスを主たる事業としている。

 2013年10月に、全日本空輸(ANA)の子会社であった新東京空港事業、ANAエアサービス東京、ANAエンジニアリングサービス成田の3社が統合し、総合ハンドリング会社として新たにスタートを切ったANA成田エアポートサービスが統合前から使っていたのが、「NTON(ニュートン)」と呼ばれるクライアントサーバー型の生産管理システムだった。

 オラクルDBをベースに据えたこのシステム、もともとはペーパーレス化を推進するために導入されたもので、請負業務に関する作業実績入力や作業者の勤怠情報管理、請求業務など紙で使われていたイメージを画面に落とし込んだ様々なアプリケーションが、幅広い業務で使われていた。しかし導入からすでに10年を経過しており、ハードウェアやソフトウェアの保守切れを迎えていた。

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