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[ベテランCIOが語る「私がやってきたこと、そこから学んだこと」]

全社ICT標準化の推進と成果、そしてITスタッフの頑張りについて思うこと

【第9回】

2016年9月28日(水)寺嶋 一郎(元・積水化学工業情報システム部長)

前回は、積水化学の汎用機上の基幹システムをオープン化していき、レガシーから脱却した経緯とその成果をお話した。今回はITガバナンスの一環としての全社のICT標準化を行ったその経緯と成果をお話したい。何かを読み取っていただければ幸いである。

 本社IT部門のミッションの一つに、ITガバナンスがある。ガバナンスとは「統治、またはそのための体制や方法」という意味である。よく使われる「コーポレートガバナンス」という言葉は「企業統治」と訳されるが、経営層の間では業務を執行する機能(マネジメント)と業務執行活動を監視する機能(ガバナンス)とを、分離する意味合いで使われることが多い。だから経営者に「ITガバナンス」と言うとITを監視する機能だと思われ、怪訝な顔をされたことがある。

 実際にはどういう意味なのだろうか? 経済産業省の「企業のITガバナンス向上に向けて」という資料によれば、ITガバナンスは「企業が競争優位性の構築を目的としてIT戦略の策定及び実行をコントロールし、あるべき方向へと導く組織能力」と定義されている。分かりやすく言えば、IT部門が全体戦略を策定し、ICTを統括する。各部門はそれにちゃんと従うということではないだろうか。

 しかし筆者が3名で情報システム部をスタートした際、そうはいかなかった。ちゃんと従ってもらい、ITガバナンスを実践するには、IT部門が経営やユーザー部門から信頼を得ていなければならなかったからだ。IT部門が少しずつでも小さな成功を積み重ね、実力をつけ、現場から「IT部門もなかなかやるじゃないか」「いろいろ厳しいことも言うけど、最後はちゃんとやってくれるし、やはりIT部門の言うことを聞くべし」と思ってもらうまでになる必要があったのである。

 そのために大事なのが、イントラネットや社内報を使ってIT部門の活動を分かりやすくアピールする広報活動だ。成功を積み重ねるのは当たり前で、知ってもらう努力が欠かせない。例えば外部の雑誌や新聞などのメディアで成果が取り上げられると、大きな効果がある。特に日経新聞などで記事が出ると、効果はてきめんだ。IT部門が信頼されるとともに、ガバナンス力も大きくなる。

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