[インタビュー]

IoTに取り組むなら避けられぬ「ソフトウェアの収益化」、製造業の今は25年前のソフトウェア業界!?

2016年10月19日(水)志度 昌宏(IT Leaders編集部)

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)への関心が高まっている。そうした中で「利用者に提供するアプリケーションソフトウェアやモノに組み込むソフトウェアの価値を重視すべき」と指摘するのが、ICカードや個人認証大手の蘭ジェムアルトだ。IoTにおけるソフトウェアの価値について、ソフトウェアマネタイゼーション事業本部のプロダクトマネージメントディレクターであるLaila Arad-Allan(ライラ・アラドアラン)氏に聞いた。

写真:蘭ジェムアルトでソフトウェアマネタイゼーション事業本部プロダクトマネージメントディレクターを務めるLaila Arad-Allan(ライラ・アラドアラン)氏写真:蘭ジェムアルトでソフトウェアマネタイゼーション事業本部プロダクトマネージメントディレクターを務めるLaila Arad-Allan(ライラ・アラドアラン)氏

−−「ソフトウェアマネタイゼーション」とは何を指しているのか。

 製品としてのソフトウェアあるいは各種サービスを提供するためのソフトウェアを管理し、収益化を図るため考え方である。当社はそれを実現するための仕組みを開発し提供している。

 これまでソフトウェアのライセンス管理と言えば、ERPやミドルウェア、PC用ソフトウェアなどソフトウェアベンダーの経営課題だったが、これがIoT時代になれば、各種の製造業やサービス事業者にも重要な意味を持つようになってくる。IoTの時代には、ソフトウェアの重要性が高まる一方だからだ。

 多くの製造業はこれまで、モノすなわちハードウェアを作り販売することに集中してきた。ソフトウェア化が進んでいると言われながらも、ハードウェアに組み込んだソフトウェアについては、その価値を認めてこなかったとも言える。今ではソフトウェアに7割のリソースを割くほどになっているのに、ソフトウェアからは売り上げを得ていないし、ハードウェアの設計ありきでソフトウェアの仕様を決めたり、組み込みソフトウェアの開発を完全に外注したりといったことからも指摘できる。

 今後はソフトウェアが生みだす価値を最大限に生かしたビジネスモデルを実現するなど、製造業といえども、ソフトウェアの価値を再認識し、その収益化を図らなければならない。

——ソフトウェアベンダー同様のライセンス管理の仕組みが必要になるということか。

 少なくとも当社がソフトウェアベンダーなどに提供してきた仕組みが適用できる範囲は小さくないし、それを利用することで製造業のビジネスモデルを変革できると考えている。製造業は、モノの販売、ソフトウェアの販売、そして今、ようやくサービスビジネスを指向し始めたところだ。ソフトウェアの収益化の観点でみれば、製造業は25年前のソフトウェア業界と同じ段階にある。

 当社がソフトウェア業界に提供してきたのは、ライセンス管理のプラットフィームになる「Sentinel Software Monetization Platform」である。ライセンス管理の仕組みは従来、ソフトウェアベンダーが自前で構築し運用してきた。だが、ライセンス形態がシンプルな時代ならまだしも、ライセンス形態が多様化してきた今、自社で開発したライセンス管理システムが、ライセンス形態の変更やビジネスモデルの変革の“足かせ”になる例が出ていている。場合によっては製品であるソフトウェアそのものの改変が必要になるからだ。

 加えて、オンプレミスへのパッケージ販売からクラウド上でのサブスクリプションまでを実現しようとすれば、ライセンス管理システムを構築するための専門知識が必要になる。ベンダーの競争力は、製品/サービスのためのソフトウェア開発力であって、ライセンス管理システムを開発するための技術者までを抱える余力は、ないはずだ。こうした背景から、当社のような専門ベンダーが提供するライセンス管理のためのプラットフォームへの期待が高まっている。

−−プラットフォーム化することのメリットは何か。

 製品としてソフトウェアに対するライセンス管理の仕組みの適用と、それを利用したビジネスモデルの企画/実行を分離できることだ。エンジニアリングチームやIT部門と、事業部門や運用部門の役割を明確にし、それぞれが求めるタイミングで動けることだとも言える。

 例えば、日常的に利用しているようなPC用アプリケーションだけをみても、そのライセンスモデルは多様化している。永続的なライセンス貸与もあれば、利用期間で制限したり利用者数で制限したり、あるいは複数のデバイスから利用できるようにしたりだ。クラウドの普及によるサブスクリプション(購読)型のモデルが広がるなど多様化が進んでいるだけに、ライセンス管理の仕組みにも柔軟性が求められている。

 こうしたライセンス形態を考えるのは主に事業部門の役割だ。自社都合もあれば、競合他社への対抗上、あるいは業界全体の変化への追従など、そのきっかけも様々なタイミングで発生する。国別の対応や、顧客ごとの対応なども検討項目になるだろう。

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