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[実ビジネスに向けたブロックチェーンの基礎知識]

ブロックチェーン3.0=ライフスタイルを変える【第3回】

2017年1月17日(火)小田 玄紀(ビットポイントジャパン代表取締役社長)

ブロックチェーンが仮想通貨のための技術としてスタートしたことから、金融分野のための技術だと理解されている方が多いようです。しかし、ブロックチェーンは,仮想通貨のためだけの技術ではありません。今回はブロックチェーンの技術が私たちの生活をどのように変えていくかについて考えてみたいと思います。

 第1回で説明したように、ブロックチェーン技術の根幹は暗号技術です。すなわち、デジタル上のデータあるいは情報が真であることを低コストで証明できるという点に特徴があります。

 法定通貨の場合、紙幣が偽札かどうかは目視で判定しますし、振込の場合は金融機関からの振込であることで、それを裏付けています。これに対し仮想通貨はデジタル上の通貨のため、振り込まれた金額が偽物ではないか、所有者は本当に送金者なのかという点を証明する必要があります。ここに活用されているのがブロックチェーンの技術です。ブロックチェーン技術の特徴を再掲しておきましょう。

(1)中央管理ではなく複数分散管理のため、情報改ざんが困難である(過半数の管理者の情報を一度に改ざんする必要がある)
(2)原則として「履歴が長い情報」が優先されるため、過去の情報も改ざんしなければ情報が修正されない

日々の生活は情報が「正しい」ことを常に求めている

 これらの特徴からデジタル上のデータであっても情報改ざんが困難であり信用性が担保されます。実は、これらの特徴から、例えば契約締結や所有権移転登記などにおいてもブロックチェーン技術が活用できると注目されているのです。

 これまで、重要な契約については公証人役場で公正証書を締結する、あるいは確定日付を押印してもらう。不動産や車両などの重要資産については法務局で移転登記を行い、謄本における名義人を真たる名義人としてきました。いずれも、契約書が複数作成され二重売買などが行われてしまうと真の所有者が誰かが分からなくなってしまうために取られた手法です。ですが、こした取引も、ブロックチェーン技術を使ってデジタルデータにおいても情報の正確性が担保されれば、すべてをデジタルで完結できることになります。

 ブロックチェーン技術により「鍵が不要になる」とも言われています。予め音声や指紋、虹彩など登録したり、携帯などの個人用デバイスから所有者が本人であることを証明したりできれば、扉の解錠などでも鍵が不要になります。日本では現在、訪日観光客が増え、民泊の需要が確実に高まっています。民泊などの場合は特に鍵の受渡しコストを以下に下げられるかが課題の1つになっています。ブロックチェーン技術により、この点が解決できれば民泊などの新しいサービスの普及拡大にもつながります。

公共施設や電力など社会インフラのデジタル化を加速

 一部の自治体やゼネコンは、橋や道路、建物といった公共施設の老朽化の確認手段としてブロックチェーン技術の活用も検討をしています。各社は今、老朽化の状態を把握するためにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の導入を進めています。しかしIoTの最大のボトルネックは情報管理とハッキング対策です。仮に集まった情報が不正に改ざんされてしまえば、老朽化していても老朽化していないと報告されるなど大変な問題になりかねません。デジタル情報は、その収集だけでなく管理および正当性の証明が何よりも重要です。ここにブロックチェーン技術を活用しようというわけです。

 ブロックチェーン技術によって発電・送電のあり方も変わると言われています。最近は家庭用太陽光発電も徐々にですが普及してきており、家庭やオフィスでも「売電している」という方が多く存在しています。一方で電力需要家も、電力完全自由化の流れを受けてクリーンな電力または地域で発電された電力を購入したいという需要も存在しています。

 現時点では、新電力会社に契約を切り替えても送電は地域電力会社が担うため、仮に自然エネルギーを中心とするクリーンな小売り電気事業者と契約を結んでも実際に送電される電力は、どこで発電されたのかを特定できません。ですが、電気というデジタルなものを個別に認証すれば、太陽光で発電された電力だけを自然エネルギーを求める需要家に売電できる可能性が出てきます。特に電力などは発電所と需要家が近ければ近いほど送電ロスがなくなるだけに、より身近なところで電力の売買ができれば日本全体のエネルギー消費の改善にも寄与できるのです。

インターネット同様にブロックチェーンが生活を変えていく

 ブロックチェーンの技術が新しく、まだ試験段階の取り組みが多いことは事実です。しかし、ブロックチェーン技術により生まれた「Bitcoin」をはじめとする仮想通貨が金融の仕組みを変えつつあることは事実です。

 インターネットの普及により私たちの生活は大きく変わりました。しかし、未だに本人確認や認証をアナログで取り組まなくてはいけないことが少なくありません。ここに多くの人が不便を感じているのではないでしょうか。ブロックチェーン技術は、デジタル情報の信用性を担保する手法です。これが様々な分野で応用されれば、日常生活がさらに便利になる可能性が出てきます。

 次回は、海外ではブロックチェーン技術がどのように活用されているのかをより具体的に考察し、そこから日本における展開の可能性を考えていきたいと思います。

著者プロフィール

小田 玄紀(おだ・げんき)
ビットポイントジャパン副社長。1980年9月6日生まれ。東京大学法学部卒業。大学在籍時にマーケティング会社を起業。後に売却し、売却資金を元にマッキンゼー出身者と共に投資活動を始める。「頑張る人が報われる」をコンセプトに多数のベンチャー企業、社会起業家の育成に従事する。2011年東日本大震災以降に事業再生に軸足を移し、企業や組織の再生を行う。2016年3月に仮想通貨交換所であるBitpoint(ビットポイント)を創業。仮想通貨が適切に普及するようにセミナー活動や著作活動も行い、2016年10月には『1時間でわかるBitcoin入門~1円から送る・使う・投資する~』(masterpeace)を発刊。

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