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[CIOのための「IT未来予測」将来を見据え、目前のITを評価せよ]

IoTとAIが変えるUI(ユーザーインタフェース)

2017年2月20日(月)大和 敏彦(ITi代表取締役)

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)の技術を使った製品や応用事例が増えている。機械学習の進歩によって精度を高めたAIは、様々な製品への搭載が始まり、ビジネスとして成功を収めている例も出てきている。今回は、コンシューマー市場で起きているIoTやAIによるユーザーインタフェース(UI:User Interface)の変貌の観点から、それらの応用を考えてみたい。

 IoT(Internet of Things:モノのインターネット)によって様々なデバイスがネットワークに接続されていく。そこでは、これまでのようにインテリジェンスを持ったデバイスだけでなく、シンプルなデバイスもネットワークにつながり、我々の仕事や生活に変化をもたらすことになる。生活における事例の1つが米Amazon.comの「Amazon Dash Button(アマゾン・ダッシュボタン)」である。

IoTデバイスの多様化を示した「Dash Button」

 Dash Buttonは、そのボタンを押すことで特定の商品をAmazonに発注するためのデバイスだ。洗剤であれば、洗濯機のそばに張り付けて置き、洗剤が減ってきたらDash Buttonを押すことで、Wi-Fi経由であらかじめ設定しておいた数量の洗剤を注文できる(動画1)。組み込まれているバッテリーは、半導体やソフトウェアの省エネ化によって1000回まで使用できるという。Amazonのプライム会員だけに提供され、日本でも2016月12月5日から購入できるようになった。同日時点で、飲料や洗剤、化粧品を中心に41ブランド約700製品用のDash Buttonが提供されている。

動画1:Amazon Dash Buttonを紹介するアニメーション

 IoTの応用としてみるとDash Buttonは、(1)単機能をシンプルな専用ボタンとして実現している、(2)これまでPCやスマホなどでソフトウェアによって集約していた機能をハードウェアで実現している、という点で興味深いソリューションである。Dash Buttonは、ネットワークと電源が準備できれば、クラウドやクラウド上のアプリケーションと連動して機能するシンプルなデバイスを実現できることを証明したことになる。

 Dash Buttonが使うネットワークはWi−Fiだが、屋外に設置するデバイスであっても、使用頻度が低ければLPWA(Low Power Wide Area)による無線ネットワークを使えば、10年程度の寿命を持つ埋め込み型のIoTデバイスも開発できる。図1のように、ネットワークの一般化とデバイス技術の進化によって、ますます多様なデバイスがIoTとして実現可能になる。ただ実際には、ビジネス的にどう成功させるかがカギになる。

図1:IoTデバイスの多様化と応用範囲の広がり図1:IoTデバイスの多様化と応用範囲の広がり
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 Dash Buttonの価格は500円で、かつ、対象商品を買った際に、その500円は割り引かれるため利用者に負担はない。この値付けも巧妙ではあるが、イノベーティブなサービスがプライム会員にのみ提供されているという点が重要だ。年会費という利益率の高い固定収入をベースに、付加機能として提供することで、会員の忠誠度向上や新規会員獲得につながる。プライム会員のアカウントとアプリケーションの仕組みは既にあるため、新たなコストはDash Buttonだけで済む。IoTの応用においては、Dash Buttonのように、多様化したデバイスの可能性と、そのベースになるビジネスモデルを合わせて考える必要がある。

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