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航空業界のライバル2社が相次いで採用したBIツール「Domo」

2017年8月10日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)

2017年6月15日、日本航空(JAL)がBIツールとして米国のスタートアップ企業が提供する「Domo」の採用を発表、わずか20日後の7月5日にはライバルの全日本空輸(ANA)も競うようにDomoの採用を発表している。航空業界の世界的ディファクトスタンダードというわけでもないスタートアップ企業のBIツールは、なぜ競合企業に相次いで採用されたのか。そのほか、国内外で多くの大企業や先進企業に採用されているDomoは、従来のBIツールと何が違うのか。2017年8月8日に開催された日本法人の記者説明会で、その一端が明らかになった。

 2010年に創業した米ドーモのCEOであるジョシュ・ジェームス氏は、2009年にアドビシステムズに買収されたWeb解析ツール提供企業のオムニチュアを創業、上場させた人物。ドーモの資金調達は6億9000億ドル以上で、個人投資家に名を連ねているのが、米Amazonのジェフ・ベゾスCEO、米Salesforce.comのマーク・ベニオフCEO、楽天の三木谷浩史CEOといった面々。ドーモがいかに注目のスタートアップであるかがわかる。投資家による評価額は23億ドルのユニコーン企業だ。

ドーモ日本法人の代表取締役ジャパンカントリーマネージャー 川崎友和氏

 同社のサービス「Domo」について日本法人のカントリーマネージャーである川崎友和氏は「ビジネス最適化プラットフォーム」だとしている。「ビジネスデータを可視化するためのツールである」ともしており、一般的にはBIツールとして認知されている。

 BIツールといえば、大手ITベンダーに買収されたビジネスオブジェクツ(BusinessObjects)やハイペリオン、コグノスなどのエンタープライズBI全盛から、TableauやQlick、マイクロソフトのPower BIに代表されるセルフサービスBIの時代に移ってきた。ガートナーのマジッククアドラントではここ数年、Tableauがリーダーの座を確保し続けている。

 そのネクストジェネレーションとして注目されているのが、Domoだ。最大の特徴は、ネイティブクラウドのBIツールであること。Tableauなどクラウド版を用意しているツールもあるが、もともとはオンプレミス向けに設計されているものがほとんどのなか、Domoはクラウドの特徴を活かした製品設計が成されており、既存のBIツールと一線を画している。

 クラウド上には、データベースを始めBIツール活用に必要となる様々な機能が用意されている。特に、データベースはかなり強大なものを構築しているそうで(ベンダー名は非公表)、インメモリーデータベースを使用しているTableauには「限られたデータ量では処理スピードに差が出る」ものの、「データ量が膨大になっても速度が落ちないのがDomoの強み」(ソリューションコンサルティング部長の奥野和弘氏)だという。

 BIツールは、いかに多くのデータソースからスムーズにデータをアップロードできるかが重要となるが、Domoにはすでに450以上のサードパーティー製品向けコネクタがあるため、ユーザーは開発工程を経ずに新たなデータソースからの情報を取り入れて可視化できる。

 DomoはエンタープライズBIやセルフBIなど既存のBIツールから移行するものなのかというと、どちらかというと脱Excelの流れが主流のようだ。「企業単位で見れば、既存のBIツールと併用するパターンが多い」という。既存のBIツールとは、利用者層も利用目的も異なるからだ。Domoは分析するというよりは、ビジネスユーザーが自身の営業戦略やマーケティングに今すぐ必要なデータを可視化するイメージだ。

 Tableauなどユーザーインターフェース、ユーザービリティに優れたセルフBIは、エンジニアの手を煩わせることなくデータ活用が可能になるなど、データ活用の民主化を推進した。Domoは経営者から財務、営業、情報シス担当、マーケティング担当などエンドのビジネスユーザーに至るまで、職種、業種を問わずクラウド上のプラットフォームで様々なソースからのデータを必要に応じて可視化できる。データ活用の民主化を更に一歩前進させたものといえる。

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