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NEC、ベクトル型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」の中核部品を単体で販売

汎用PCサーバーと組み合わせてスパコンを構築可能

2020年11月19日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NECは2020年11月19日、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」の中核部品であるPCI Express接続型のベクトル演算エンジンを、単体で販売開始した。汎用PCサーバーと組み合わせることで、ベクトル型スーパーコンピュータを構築できる。SIベンダーやPCサーバーベンダーなどに販売する。中堅・中小製造業における研究開発用途など、ベクトル型スーパーコンピュータの新たな市場を開拓する。価格(税別)は、最小構成で114万4000円から。2021年1月から出荷する。販売目標は、今後3年間の累計で100億円。

 NECは、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」の中核部品であるPCI Express接続型のベクトル演算エンジン(VE)を、VE単体で販売開始した(写真1)。汎用PCサーバーと組み合わせることで、SX-Aurora TSUBASA同様のベクトル型スーパーコンピュータを構築できる(関連記事NEC、x86とベクトルプロセッサを組み合わせた新型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」)。

写真1:PCI Expressカード型ベクトルエンジンの外観写真1:PCI Expressカード型ベクトルエンジンの外観

 VE(ベクトルエンジン)は、ベクトルプロセッサとメモリーを搭載した、PCI Express接続型のベクトル演算ユニットである。ベクトルエンジン1枚に1個のベクトルプロセッサ(8コア)を搭載する。8コアでの性能は、倍精度浮動小数点演算性能が2.45TFLOPS(テラフロップス)、メモリー帯域は1.53TB/秒である。メモリーの帯域幅が広いことから、大容量データを一括処理する大規模シミュレーションなどの用途に向く。

 OSはLinuxが動作する。ユーザーから見れば、Linuxが動作する通常のx86サーバーとして使える。アプリケーションも、x86向けに書いたコードをそのまま利用できる。専用のコンパイラ(Fortran、C、C++)を使って再コンパイルするだけで、ベクトルエンジン上で動作するアプリケーションが得られる。ベクトルエンジンを使うための特別なコーディングは不要である。

パートナー経由でベクトル型スパコンを利用しやすく

 これまでNECは、VEを自社製の専用サーバー機に搭載し、「SX-Aurora TSUBASA」として提供してきた。一方、製造業では、サプライチェーンの川上から川下まで、幅広い企業でベクトル型スーパーコンピュータの需要拡大が見込まれる。NECは、こうしたニーズに応えるためにVEを単体で販売し、中堅・中小の製造業を含む新市場を開拓する。

 SIベンダーは、汎用サーバーとVEを組み合わせて顧客に提供できるようになる。PCサーバーベンダーは、自社製サーバーにVEを組み込んで、独自ブランドのベクトル型スーパーコンピュータとして販売できる。NECは今後、VEの動作確認済みの汎用サーバーの機種数を順次拡大する予定である。

 2020年11月時点でVEの動作を確認済みのサーバー製品は、以下の4つである。

  • NEC Express5800シリーズ  2Uサーバー R120h-2M
  • NEC LXシリーズ 4Uサーバー 124Ri-4G
  • Super Micro 1Uサーバー SYS-1029GQ-TRT
  • Super Micro 4Uサーバー SYS-4029GP-TRT2

 NECは、VEの単体販売に合わせて、2つの新たな取り組みを開始した。1つは 他社製ハードウェアでVEが正常に動作するかどうかをパートナー自ら確認できる「Vector Engineパートナー検証プログラム」である。NECが提供する検証用ツールを使って、手順に沿って検証を進められる。先行してビジュアルテクノロジーに検証ツールを提供した。

 もう1つの新たな取り組みは、SX-Aurora TSUBASAのハウジングサービスである。データセンター運用事業者のカゴヤ・ジャパンと連携し、顧客が保有するSX-Aurora TSUBASAをカゴヤ・ジャパンのデータセンターに収容できる。価格(税別)は、初期費用が15万円からで、月額費用が8万1000円から。今後は、SX-Aurora TSUBASAのコンピューティング資源をクラウド型で利用できるサービスも検討していく。

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