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大塚製薬、医薬品の出荷判定支援システムを国内の全工場で運用、出荷判定に必要な情報を集約

2023年4月11日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

大塚製薬は、医薬品の出荷判定支援システムを開発した。2023年4月から、国内6カ所すべての医薬品製造工場で運用を開始する。出荷判定を行う品質保証部門では従来、工場や製造管理部門など複数の組織が所掌するシステムや記録から90以上の情報を手作業で調査/確認していたが、これを改め、出荷判定に必要な情報を1つのシステムに集約した。確認業務の負荷を軽減することで、人的なミスを防ぐ。システムを開発したNTTデータが2023年4月11日に発表した。

 大塚製薬は、医薬品を出荷する際の判定業務を支援するシステムを開発した。2023年4月から、国内6カ所すべての医薬品製造工場で運用を開始する。出荷判定を担う品質保証部門では従来、工場や製造管理部門など複数の組織が所掌するシステムや記録から、90以上の情報を手作業で調査/確認していた。今回これを改め、出荷判定に必要な情報を1つのシステムに集約した。確認業務の負荷を軽減することで、人的なミスを防ぐ(図1)。

図1:大塚製薬が運用を始めた、医薬品の出荷判定支援システムの概要(出典:NTTデータ)
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 開発したシステムは、社内にある複数のITシステムを連携させ、製品のロットにひもづく製造記録や品質試験記録の照査結果、逸脱管理/変更管理など、品質に影響する各種イベント情報を一元的に管理する。

 必要な情報を検索して閲覧可能である。また、出荷判定に関わる各業務の従事者が同一のシステムにアクセス可能であることから、部門を横断する業務も同システムを介して完了する。さらに、出荷判定製品の関連情報を集約することによって、製造プロセスの透明性が上がる。属人的な作業から脱却することで、人的エラーの抑止にもなる。

 システム基盤として「ServiceNow」を利用している。既存のシステムに大きく手を加えずに連携しているため、現行業務への影響を最小限に留めている。加えて、ローコード/ノーコードで機能を開発可能であることから、今後の法改正やシステム改良に柔軟に対応可能だとしている。

 システムを開発したSIベンダーのNTTデータは今後、製薬業界全般を対象に、出荷判定業務の支援に必要な基本機能を備えたサービスとして、今回開発した出荷判定業務支援システムをクラウドサービス型で提供する。製薬業界全体の業務効率化と安心な医薬品の流通に貢献するとしている。

多方面から品質を保証した上で医薬の出荷可否を判定

 背景として、製薬会社の品質保証部門は、製造/試験に関する記録を照査し、これらの過程で発生した逸脱管理/変更管理などが適正に処理されたことを精査して、多方面から品質を保証した上で医薬の出荷可否を判定している。

 原薬製造所/製剤製造所からの出荷、および最終包装製品の市場出荷において、それぞれの出荷可否判定を行い、品質保証情報を受け継いでいく。特に、製造過程での製造記録や品質試験の記録は、結果だけでなくデータの信頼性保証の観点から、数十のチェック項目に対して照査を行っている。

 また、出荷する製品に対して、影響する逸脱管理/変更管理の有無を調査し、影響がある場合は適正に措置済であることの確認が必須となっているため、品目数が多くなれば、その管理は煩雑となる。

 さらに、2021年8月にGMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)が16年ぶりに改正され、経営陣の責務、品質保証部門の業務、製造所からの出荷の管理、データインテグリティ、変更管理/逸脱管理等について、より具体的に言及されている。この結果、医薬品の製造管理および品質管理を行うための「実行性のある医薬品品質システム」の構築が必要になっている。

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