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GDOシステム部長が明かすプロジェクト成功の秘密

2011年7月29日(金)

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)は2011年7月1日、社内の業務システムを全面刷新。これに伴い、7月27日にメディア向け説明会を実施した。創業11年めにあたる今年、グローバル展開を見据えた次の10年を支える新たなITをアピールするためだ。ユーザー企業が自らこうした機会を設けるのは極めて珍しい。

IT Leadersの連載コラムで毎月詳報しているこのプロジェクトの名称は「G10」。2010年1月に始まった。その主な開発対象は会員基盤やEC、ゴルフ場予約、会計/情報流通基盤、カスタマーサポートといった業務システムである。このほか、Webサイトデザインの見直しや、システム間連携など周辺機能の開発を合わせて、13のサブプロジェクトを同時進行させた(表)。アビームコンサルティングやインサイト、コマース21、住商情報システムといった複数ベンダーが参画する大がかりなプロジェクトだが、GDOはこれを1年半という短期間でやり遂げた。なぜうまくいったのか。説明会で、プロジェクトマネジャーを務めた渡邊信之システム部長が明らかにした。

G10プロジェクトの協力ベンダーと導入製品
表 G10プロジェクトの協力ベンダーと導入製品(画像をクリックで拡大)

グランドデザイン策定が決め手

同氏がまず挙げたのは、プロジェクトの運営体制である。PMO機能を果たすG10推進チームを設置したほか、各サブプロジェクトのオーナーやマネジャーには業務部門の責任者を選任。ユーザーのコミットを引き出した。役員をメンバーとするステアリングコミッティに対しては、プロジェクトの進捗や課題について頻繁に報告した。

プロジェクト初期の段階で、新システムの姿を描き切ったことも大きかった。具体的には、要件定義前の構想段階で「グランドデザイン」を作成した。これは、社内にある全システムを、機能レベルでマッピング。データの連携関係を洗い出して明確化したもの。実体は巨大な1枚の図で、いわばプロジェクトの「地図」である。それだけではない。この地図から550本に上るシステム間インタフェースを洗い出し、1つひとつの出入力先やデータ形式を定義した。こうして目指すべきシステムの全体像を可視化したことにより、要件定義フェーズにおける抜け・漏れを防ぐ効果を得られた。

GDOがプロジェクト初頭に策定したグランドデザインの一部
図 GDOがプロジェクト初頭に策定したグランドデザインの一部

その要件定義フェーズには、実に半年をかけた。意図が不明確な「なんとなく要件」を徹底的に排除するためである。そのうえで、設計したシステムが正しく連携動作するかを机上で検証するウォークスルーを実施した。こうした周到さが、その後の大きな仕様変更を防いだ。実際、「開発コストやスケジュールに影響するような仕様変更はゼロだった」(渡邊氏)という。

専用ルームを開設

開発中は、ベンダーマネジメントにも工夫した。一般的に、設計フェーズまでをユーザー主導で実施しながら、開発に入るとベンダー任せになってしまうプロジェクトは多い。しかし、「それでは開発の進捗状況を把握できず、開発終盤になって遅れやミスが発覚するリスクがある」(渡邊氏)。そこでGDOは、各ベンダーに進捗や課題について週次での報告を義務づけた。開発遅れの芽を摘むためである。

このほか、本社近くにプロジェクト専用スペースを用意した。メンバー全員が1つの場所に集まることで、コミュニケーションロスを最小化することが狙いだった。このスペースには、ピーク時180人が集結したという。ただし、毎日顔を合わせる環境には、報告や確認が口頭にとどまりやすいという問題があった。そこで、推進チームは、課題管理ツールとしてBacklog、バグ管理用にOSSのRedmineを導入。コミュニケーションのルール化・デジタル化を図った。複数ベンダーを1カ所に集めたことによるメリットはもう1つあった。「ベンダー間に『他社に後れを取るわけにはいかない』という競争心が生まれた。これも、短期開発を成功させた一因と考えている」(渡邊氏)。

様々な工夫でマルチベンダーによる大規模プロジェクトを乗り切ったGDOだが、すべてが順風満帆だったわけではない。「実は、新システムの当初の稼働予定は2011年1月。しかし、2010年5月にスケジュールを見直し、稼働時期を2011年7月に延期した」(渡邊氏)という経緯がある。この点について、同席した大日健CIOは「サブプロジェクトが要件定義とともに上げてきた開発スケジュールを精査した結果、元の計画を強行しては開発失敗という危機を招くことが分かった。設計前の段階でにそうした危機を察知し回避できたことは、プロジェクトにとってむしろプラスだった」とコメントした。

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