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IPA、共通キャリア・スキル評価指標のCCSFを刷新した「iコンピテンシ・ディクショナリ」を公開

2014年7月31日(木)河原 潤(IT Leaders編集部)

IPAは2014年7月31日、同組織が公開している国内IT人材の共通キャリア・スキル評価指標「共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)」を現状に即して再編、「iコンピテンシ・ディクショナリ(試用版)」として公開を開始した。(※編集部より:スキルスタンダード研究所の高橋秀典氏の連載「IT人材育成[戦略と実践]」で「新CCSF=iコンピテンシ・ディクショナリ」の考え方について詳しく解説されていますのでそちらもお読みください)

 「民間主体による育成の促進」の一環としてCCSFの第一版が公開されたのは2008年10月。ITSS(ITスキル標準)をUISS(情報システムユーザースキル標準)、ETSS(組込みスキル標準)の3つのスキル標準と情報処理技術者試験に共通した評価の枠組みとして登場した。2012年3月には「CCSF(第一版・追補版)」が公開され、産業界におけるIT人材共通の評価指標としてび活用促進を図られてきた。

 今回、CCSFを刷新してiコンピテンシ・ディクショナリ(試用版)を公開した背景として、IPAは、近年のITを取り巻くビジネス環境やITの技術トレンドの変化を挙げている。IPAによると、クラウドに代表される新たなITを活用したサービスビジネスが台頭する一方で、旧来の受託型システム開発企業が生き残りをかけた厳しい対応を迫られている現状があり、こうした現状を踏まえて、この先のわが国におけるIT人材育成や、その際のスキル標準のありかたについて、再度検討を重ねてきたという。

 検討の結果、これまでのCCSF(第一版・追補版)で示してきたタスクモデル、スキルモデル、人材モデルなどのコンテンツを、「業務(タスク)」と「業務遂行に求められる個人の能力や素養(スキル)」、タスクの分担例を示す「役割」、スキルのスペシャリティを示す「職種」に区分・整理し直し、「タスクディクショナリ」、「スキルディクショナリ」(体系化された辞書)としてまとめたのがiコンピテンシ・ディクショナリ(試用版)である。

業務遂行とディクショナリの関係(出典:IPA)

 iコンピテンシ・ディクショナリでは、これまでのCCSFで対応しているシステムインテグレーター(SIer)など従来からのビジネスモデルをはじめ、セキュリティやクラウド、データサイエンスなど新時代のビジネスモデルに求められるタスクやスキル、役割分担例、職種が新たに追加されている。

 また、スキル標準・情報処理技術者試験に加えて、ITIL(ITサービスマネジメントベストプラクティス集)やPMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)などIT関連の15のプロセス体系、知識体系(BOK)との参照性を確保。内容についても大幅な拡充が図られている。

 IPAは、ユーザー企業・組織がiコンピテンシ・ディクショナリに用意された多様なコンテンツを利用して、各企業・組織のビジネス戦略や人材育成ニーズに合わせたタスクとスキルの選択が可能となり、これまでのCCSFに比べて、より容易に目的に即したタスクモデル・スキルモデルを作成することができるとしている。

図:iコンピテンシ・ディクショナリの構成について(出典:IPA)

 今回の公開でIPAは、各企業・組織がiコンピテンシ・ディクショナリを活用しやすくするため、「iコンピテンシ・ディクショナリ解説書」および「iコンピテンシ・ディクショナリ活用ツール」を同時に公開している。解説書では、iコンピテンシ・ディクショナリの仕組みや活用法が解説される。また、活用ツールは、各企業・組織が目的に応じたタスクモデルを定義するためのツールで、これを併用することにより、経営目標をベースにした自社のタスクモデル・スキルモデルの策定から、自社の人材育成目標を具体化するまでの一連の作業を効率的に行うことが可能という。

 今回公開された一連のドキュメントは、IPAのWebページからダウンロードすることができる。なお、IPAは、iコンピテンシ・ディクショナリの改善と発展に向けて、7月31日よりパブリックコメントの募集を開始した(募集期間:2014年7月31日~同年8月31日)。パブリックコメントで寄せられた意見を踏まえて、2015年夏頃に「iコンピテンシ・ディクショナリ」正式版の公開を予定している。併せて、各企業・組織・個人が「iコンピテンシ・ディクショナリ」正式版をWebから利用することができる「iコンピテンシ・ディクショナリ活用システム」(仮称)の提供開始も予定されている。

※編集部より:スキルスタンダード研究所の高橋秀典氏の連載「IT人材育成[戦略と実践]」で「新CCSF=iコンピテンシ・ディクショナリ」の考え方について詳しく解説されていますのでそちらもお読みください。

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