[河原潤のITストリーム]

デジタライゼーションをみずから主導する先進企業のCEO―IBM経営層調査より:第51回

2016年2月3日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

世界各国のCEO(最高経営責任者)が自社の経営・IT戦略をどう描いているかを調査・分析したIBM CEOスタディレポートの最新版「IBMグローバル経営層スタディ CEOの視点:破壊者との競争と共創」が発行されています。このレポートから浮かび上がるのは、デジタライゼーションや破壊的イノベーションに果敢に挑む先進企業CEOたちのリアルな姿です。

世界70カ国/800人以上のCEOが回答した動向調査

 IBMグローバル経営層スタディは、同社が2002年から実施している、企業の経営層(CXO、注1)を対象とした経営/IT戦略動向調査です。1月27日に公開された2016年版では5000人以上の経営層にヒアリングし、うち818人のCEO(図1)の回答結果をまとめ、分析を行っています。IBMの顧客ということで大手企業が中心となりますが、世界70カ国/800人以上が回答した最大規模のCEO調査として注目に値するものです。

図1:グローバル経営層スタディに回答したCEOの業界分類(出典:日本IBM「IBMグローバル経営層スタディ CEOの視点:破壊者との競争と共創」)
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 最新版のCEOスタディの特徴としてIBMは、世界のCEOが先端テクノロジーを駆使したビジネス変革(デジタライゼーション)に焦点を当てていること、その過程でバリューチェーンや顧客・パートナーとの関係性(エコシステム)の再定義に取り組んでいることの2つを挙げています。

 背景には、新興企業や他業種からの参入企業の台頭で市場の地殻変動がさまざまな業種で起こり、それを目の当たりにした伝統的な大企業が危機感を募らせていることがあります。デジタルビジネスへの対応が後手に回ってしまったとたん、老舗だろうが大手だろうが市場存続すら危うくなるのが今。CEOみずからが主導して、デジタルビジネスへのシフトやエコシステムの醸成をはたしながら競争力を高めていくことが急務というわけです。以下、注目の調査項目の結果をいくつかピックアップして見ていきます。

注1:IBMのグローバル経営層スタディにおける調査対象CXOは、CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CHRO(最高人事責任者)、CIO(最高情報責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)、COO(最高執行責任者)の6役職

市場リーダーかつ高業績の「さきがけ企業」

 IBMは、今回のCEOスタディに回答した企業が、市場の中でどんなポジションにあるのかを、図2のように分類しています。26%が市場の動きを見てから追いかける「マーケットフォロワー」、44%が市場の動きにほぼシンクロできる「マーケットピア」、そして30%が市場を主導する「リーディングイノベーター」という内訳で、下の%がそれぞれのうち高い業績を挙げている企業の割合を示しています。

 ここでIBMは、リーディングイノベーターでかつ好業績を上げている、回答企業全体の4%のトップエンドを「さきがけ企業(Torchbearer CEOs)」と呼んでいます。調査結果のいくつかでは、さきがけ企業の経営層が、マーケットフォロワーとの比較で、IT戦略・投資に対する考え方や実践がどのぐらい違うのかを示すことで、市場でのポジションや業績との相関を浮き彫りにしています。

図2:回答した企業の分類(出典:日本IBM「IBMグローバル経営層スタディ CEOの視点:破壊者との競争と共創」)
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