[CX(Customer Experience)デザインの基礎知識]

IoT/AIが変えるCXの未来、現場の“ヒーロー/ヒロイン”は消える?!【最終回】

2016年10月24日(月)飯塚 純也(ジェネシス・ジャパン コンサルティング本部 本部長 サービスデザイナー)

CX(Customer Experience:顧客体験)を最適化するための「サービスデザイン」。これまで、具体的な課題解決策を絞り込むための各種ツールや、そこから導かれたCXを実現するためのシステムのデザインについて紹介していきました。最終回となる今回は、アジャイルやリーンといったサービス開発手法や、AI(Artificial Intelligence:人工知能)をはじめとする最新テクノロジーが、これからのCXをどう変えていくのか、それは企業にどんな影響を与えるのかを考えてみます。

 1つは「Uber化(Uberization)」です。創造的破壊の例としては、配車サービスの米Uber Technologiesや、宿泊先のマッチングサービスを提供する米Airbnbなどが挙げられます。いずれも、自動車や不動産といった資産を自らが「所有」するのではなく、既に世の中に存在している資産を「利用」することから新たな価値を生み出そうとするモデルによって、既存産業に大きなインパクトを与えました。

 利用を前提とした考え方の中では、製品(モノ)の価値はさらに小さくなります。企業は、CXそのものをサービスとしてビジネスの中心に据えていかねばなりません。そのサービスは、今まで以上にモノと融合され、両者の境界を意識しないアンビエントな、すなわち生活環境に溶け込んだ状態でサービス化され、顧客の期待に沿うように成長し進化していくでしょう。

図2:配車サービス「Uber」の新しいサービス概念が今後のトレンドを牽引していく図2:配車サービス「Uber」の新しいサービス概念が今後のトレンドを牽引していく
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 Uber化に成功した事例としては、中国の旅行者向け情報サービス「12301」が挙げられます。「12301」では、電話と、1日に6億人が利用する無料のインスタントメッセンジャーアプリである「WeChat(微信)」による問い合わせに、オムニチャネルで対応するとともに、観光地の混雑状況の共有や、WeChatによる旅行者からの苦情受付と観光施設との情報連携、チケット販売といったサービスを提供しますが、Uberのようにオンデマンドのツアーガイドエージェントを活用し、一般人が空き時間を使って旅行者をサポートしています。

 もう1つのトレンドは、AI(Artificial Intelligence:人工知能)やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を用いたサービタイゼーションです。モノがサービスに昇華するには、モノ自身、がより自律的になる必要があります。センサーから得られた情報を解析し、高度なアルゴリズムと自己学習を適用することで、自律性の高いサービスが実現できるようになります。

 AIの適用領域については、「どこまでをAIが担え、どこまでが人間がなすべきか」かという責任分界点の議論があります。図3は、横軸にアクセスしてきた顧客の問い合わせ内容の「予測可能性」を、縦軸にエラーごとの損失の大小をとったグラフです。よりランダムで、予測を間違った場合の損失が大きいやり取りは、人間が担うべきです。例えばクレーム対応は「AIはでなく人間が行うべき」というのは明白でしょう。一方、定期的なコミュニケーションは、ボットやAIが担うことで両者のすみ分けが図れます。

図3:DecisionAutomationMap挿入:定期的なやりとりにAIを活用することで、AIのもつ特性、強みを発揮することができます図3:DecisionAutomationMap挿入:定期的なやりとりにAIを活用することで、AIのもつ特性、強みを発揮することができます
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