[中国電脳事情]

【中国電脳事情セレクション】成長著しいAlibaba Cloud、2017年の売上高は1兆9000億円、ほか

2018年2月15日(木)足立 治男

中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。

成長著しいAlibaba Cloud、2017年の売上高は1兆9000億円

―新浪サイエンス(2018年2月1日)

 アリババグループが2017年第4四半期(10-12月期)の財務諸表を公表した。このうち「Alibaba Cloud(阿里雲)」クラウド事業の売上高は35億9900万元(約602億5000万円)で、11四半期連続で前年同期比倍増の売上げを記録した。

 売上高が好調である理由の1つに、有料サービスのユーザーが持続的に増加していることと、多元的な収入構造がより最適化された結果があると同社は見ている。2017年の四半期ごとの売上高は、第1四半期は21億6300万元、第2四半期は24億3100万元、第3四半期は29億7500万元となり、これに第4四半期を足すと年間で約112億元(約1兆8780億円)に達する。

 IDCの調査によると、中国パブリッククラウドIaaS(Infrastructure as a Service)市場において、Alibaba Cloudが占めるシェアは47.6%に達する。これは市場シェア2位の企業の5倍に相当し、世界市場で見ても、AWSとMicrosoft Azureに次いで世界シェア3位となる。また、PaaS(Platform as a Service)市場においても、Alibaba Cloudは中国シェア1位、世界シェア5位に入る唯一の中国企業となっている。

 Alibaba Cloudは現在、世界17の地域に34の利用可能エリアを設けている。2017年10月にはAlibaba DAMO Academy(阿里巴巴達摩院)という名称の研究開発機関を設置し、今後3年間に1000億元以上の研究開発費を投じて、世界20億人を対象とした新経済共同体を構築するとしている。

アリババの技術主幹が語る「都市大脳=スマートシティ」のポテンシャル

―新浪サイエンス(2018年1月28日)

 2018年1月28日、グローバル新興科学技術サミットが北京市で開催された(主催:米MITテクノロジーレビュー、ディープテック)。同イベントでは、アリババ技術委員会主席の王堅氏が機械知能(Machine Intelligence:MI)や機械学習(Machine Learning:ML)に関する講演を行った。

 王堅氏によると、MI/MLや人工知能(Artificial Intelligence:AI)はしばし混同されるが、両者は明確に区別されるべきと主張した。「人々はAIについて語るとき、やたらに人ができることばかりを機械に教えているが、そもそも機械は人が処理できないことを学習できるものだ」(王氏)

 王氏は「都市大脳(City Brain)」というテーマを取り上げた(訳者注:都市大脳は都市のスマート化=スマートシティの意。中国では科学技術省の推進により、浙江省杭州市をはじめ河北省雄安新区、江蘇省蘇州市、浙江省衢州市、重慶市、陝西省西安市、マカオ特別行政区での導入が始まっている)。

 同氏によると、都市は人類が発明した最大のスマートハードウェアであるとして、次のように語った。「このハードウェアの手足は発達しているが、頭脳はまだ単純だ。ITやインターネット基盤がここまで発展した今、我々は都市の構造について再考する時に来ている」

 続けて王氏は、現代の都市は古代から継続する土地資源のほかに、もう1つ重要な資源が存在すると主張した。「それはデータ資源であり、この資源を有効利用することで、都市のさまざまな公共資源を最適化させ、問題解決を図ることが可能になる」と王氏。

 典型例は交通問題だ。「各地の市長は現在市内の道路上に何台の自動車が走っているか、正確な台数は絶対に分からない。それが、杭州市で試験導入されている都市大脳では容易に把握されている。交通量に応じて信号時間を調整するなど、交通資源や時間を有効に活用している」と王氏は実例を紹介した。実際、杭州市を南北に貫く高架道路(無料の都市高速)では、自動車の所要時間が平均で5分間短縮され、一般道では自動車の移動速度が平均15~20%向上したという。

 「都市大脳が完成したら、気が付けば市長は人間ではなくなっているかもしれない」と王氏はジョークを飛ばした。同氏は、都市大脳はAIの応用では決してないと繰り返し、「それはたとえるなら160年前にロンドンに世界最初の地下鉄ができたようなもの。つまり、都市の基礎インフラだ」と表現した。その際最も重要となるのがスマート技術であるという。

 王氏は、「都市という名の巨大なスマートハードウェアは、さまざまな技術のさらなる発展を促す。人々はこれを利用することで、これまで成しえなかったさまざまなことが実現できるようになる」と展望を語って講演を締めくくった。

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