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[ザ・プロジェクト]

「Slack」を全社導入、社内コミュニケーションの活性化狙うヤフーの取り組み

2018年9月7日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

ビジネスチャットが働き方改革にも寄与する次世代コミュニケーションツールとして注目されている。なかでも、評価額10億ドル以上の非上場企業をさすユニコーン企業として早くから名が知られていた「Slack」が2017年に日本進出を果たし、急速にユーザーを増やしている。国内最大のSlackユーザー企業であるヤフー システム統括本部 情報システム本部 本部長の廣瀬正則氏に、Slack導入の顛末を聞いた。

4カ月で8千人がアクティブユーザーに

――現在の、Slackの稼働状況を教えて下さい。

廣瀬 ユーザーライセンス数は、ヤフー全社員分の1万2000ほどになります。導入したのは2018年4月からですが、まだ全員が使っているわけではなく、アクティブユーザー数は導入後4カ月で約3分の2の8千人ほどに上ります。

※2017年に日本法人がスタートしたばかりのSlackの、現在の国内最大ユーザーがヤフーの1万2千人だが、グローバルでは万単位のユーザーがごろごろしているという。テック系には特に強く、グローバルトップ5社のうち、自社のOffice 365を使っているマイクロソフトを除く4社がSlackユーザーだという。ちなみに世界最大のユーザーがIBMで35万人、デイリーアクティブユーザーが11万人超にのぼる。

――Slack導入以前のコミュニケーションツールはどういったものを使っていましたか。

写真1:ヤフー システム統括本部 情報システム本部 本部長の廣瀬正則氏

廣瀬 過去をさかのぼると、ヤフーがサービスとして提供していたヤフーメッセンジャーの社内版をコミュニケーションツールとして使っていました。当時市場には様々なコミュニケーション系のチャットツールが出ていましたが、それらのサービスが次々と終了した時期がありました。ヤフーメッセンジャーも2014年に、他社同様サービスを終息させました。そこで、ヤフーメッセンジャーに変わる内部向けコミュニケーションツールを自社開発して使うことにしました。外部とのコミュニケーションにはマイクロソフトのコミュニケーションツールである「Lync(現Skype for Business)」を使うことにしました。内部とは内製ツールを、外部とはLyncをと、使い分けていました。

――わざわざ内製したツールがあったのに、なぜ外部のツールに切り替えることになったのでしょうか。

廣瀬 Slackをはじめとする、社内向けにも社外向けにも使えるオールインワンタイプののSaaS型ツールが登場し、注目を集め始めたからです。「外部に良いものがあるのに、内部で同じようなものを作り続けるというのは、スピードを重視するネットサービス事業者としていかがなものか」という意見も見られ、内製化を続ける必要性が薄れたといえます。良いものがあれば認めて使っていくのが今の時代のやり方だということです。

――ビジネスチャットは、市場にいくつか出ているかと思うのですが、その中でSlackを選択した理由は。

廣瀬 競合といっても、ビジネスチャットとして市場に出ていたのはSlackに国産のChatwork、Slackが買収を発表したHipChatくらいしかなく、すでにグローバルではSlackがデファクトという状況でした。ヤフーの中でも特にエンジニアで個人的にSlackを使っている人も相当数いましたし、何より、社内用に内製したツールとSlackが同じような思想で作られていたので操作性がほとんど同じということが大きかったと思います。例えば細かいチャットルームの作り方などもまったく一緒で、同じような思想でインタフェースが変わっただけ、という感じでした。「エンジニアが使い易いように作ると、こういう形に落ち着くんだな」と考えたものです。

※Slackはもともとゲーム会社がMMO(Massively Multiplayer Online)といわれる多人数参加型のオンラインゲームを開発する際、開発エンジニア同士のコミュニケーションツールとして内製したツール。自分たちが使いやすいように作ったものなので、結果的に他のエンジニアにとっても使いやすいツールになったということになる。ゲームは成功することなく、副産物として生まれたコミュニケーションツールだけがSlackとして残り、まずは米西海岸のエンジニアのコミュニティに支持され、成功へとつながっていく

――導入から4カ月たちましたが、どうやって浸透を図りましたか。

廣瀬 全ユーザーにインビテーション(招待)を投げて使える状態にして公開しました。しかし、黙って置いておくだけでは使わない人は使わないままでした。そこで、公開から1カ月間、社員に使ってもらうための活動を重点的に行いました。利用を促進していただける人をオーナーとして誘致し、インフルエンサーとして活動したもらいました。

画面1:1500以上の外部ツールとの連携・統合機能もSlackの大きな魅力だ(出典:Slack)
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