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事業環境の変化と不確実性に対応―JTのビジネス変革を支えるデータ連携基盤

2018年9月25日(火)齋藤 公二(インサイト合同会社 代表)

世界70以上の国・地域に拠点を置くグローバル企業としての顔を持つ日本たばこ産業(JT)。JTグループの経営課題に対し、ITでの貢献をミッションとする同社のIT部は、各種ビジネスの源泉である「データ」に着目。データ管理のサイロ化状態を脱し、ビジネス環境の大変化と不確実性に対応しうる全社データ連携基盤を構築した。2018年8月29日、都内で開催されたInformatica World Tour 2018(主催:インフォマティカ・ジャパン)のユーザー基調講演で語られたJTの取り組みを紹介する。

3年前よりデータ活用を本格化

 「お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者の満足度(Satisfaction)を高めていく」という“4Sモデル”の追求を経営理念に掲げる日本たばこ産業(JT)グループ。国内15支社、5工場、3研究所を構えるほか、世界70以上の国・地域に拠点を置いてグローバル展開を進めている。2017年度のグループ売上高は2兆1397億円、営業利益(買収関連費などの調整後の利益)は5833億円。事業の内訳は、国内たばこ事業29.3%、海外たばこ事業57.8%、医療事業4.9%、加工食品事業7.6%という構成になっている。

写真1:日本たばこ産業 IT部 次長の村木光昭氏

 Informatica World Tour 2018のステージに上がった日本たばこ産業 IT部 次長の村木光昭氏(写真1)は、最初にJTグループを取り巻く事業環境の変化を「かつてないスピードで変化し、不確実性が増大している」とし、次のように説明した。

 「IoTやAIなどのデジタルテクノロジーが進展し、産業の境界を超えた競争、顧客行動の変化が起こり、先を見通することが難しくなっています。当社もPloom TECH(プルーム・テック)のような、たばこ葉を燃焼させない新技術を用いた商品を開発しています。こうした新しい商品をマーケットにいかにしっかり届けていくかが大きな経営課題になっています」(村木氏)

 ITによる経営課題への貢献を実践すべく、JTのIT部が3年ほど前から本格化させたのがデータ活用だ。JTグループにおける従来からのデータ活用は、最初にゴールを決めて要件を定義し、完成までに時間をかけるウォータフォール型だった。これに対し、現在取り組んでいるデータ活用は、不確定なことを前提とした、アジャイルなアプローチだ。村木氏は今のアプローチを、容易にトライし失敗できること、データソースの自由度が高くさまざまなデータに容易にアクセスできることといった特徴を挙げた。

 「データを活用しながら、一緒に定義を考えていくようなアプローチです。そのためにはデータをよりスムーズに、よりクイックに、より安く導入することが求められます」と村木氏。このアプローチを実現するために、IT部は、Informatica製品を採用してデータマネジメントの新たな仕組みを整えた。

「状態」「流通」「ソース」――データ活用の3つの視点

 JTのIT部は、新たなデータマネジメントの仕組みを築くにあたって、3つの視点を持つことを心がけた。村木氏によると、3つの視点とは、データの「状態」、データの「流通」、データの「ソース」を適切にマネジメントすることだという。

 状態の管理は、データトレーサビリティの担保やデータ“鮮度”の管理、BCM(事業継続管理)やデータガバナンスの強化などだ。流通の管理は、データ流通ルートの可視化や流通するデータそのものの可視化を指す。そして、ソースの管理とは、データソースの可視化やデータの接続状況の可視化のことだ。

写真2:日本たばこ産業 IT部 主任の北村一平氏

 「ビジネスの変革にあたっては、これまでのように決まった種類のデータやオンプレミスに特化したデータの活用にとどまりません。クラウドや世の中にある多様なデータをオンプレミスのデータと接続・連携して、新しい課題や気づき、チャレンジを発見していくことが求められます」と村木氏。そんな新しいアプローチを担えるデータ連携基盤として採用したのがInformaticaというわけだ。

 続いて登壇した同社 IT部 主任の北村一平氏(写真2)は、Informaticaによる新たなデータ連携基盤について、導入の狙いや期待、アーキテクチャ上のポイントなどについて具体的に紹介した。

 北村氏はまず、データ連携基盤の導入する狙いと期待として、「事業継続性の強化」「データ管理のガバナンスレベルの向上」「事業環境変化スピードへの対応力強化」「外部サービスの活用に向けた環境の整備」「個別開発の抑制により低コスト、ハイスピード、手間を削減したデータ連携の実装」の5つを挙げた。これは、データの「状態」「流通」「ソース」という、IT部が定めた3つの観点を施策として具体的に落とし込んだものだと言える。

 図1は、データ連携基盤導入前のシステム環境だ。「かつてのシステム環境は、業務システムが各々必要な相手と個別に接続している状態でした。いわば、データとビジネスプロセスがサイロ化していたのです。このサイロ化によって柔軟性が欠如し、運用維持に手間がかかり、コストがかさんでいました。その際、影響調査に時間がかかるため、チャレンジと失敗を許容しがたく、BCMの観点からも複雑性が増していました。加えて、SaaSに代表される外部サービスとのデータ連携も個別に管理する必要があることも課題でした」(北村氏)

図1:データ連携基盤導入前のJTのシステム環境(出典:JT)
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