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【Special】

デジタルとビジネスの変革の大波へ立ち向かう――HULFT DAYS 2018から発信したデータ活用の未来

2018年12月28日(金)

ビジネスの未来の成功のためには、従来の考え方や取り組み方を大きく変え、企業が持つあらゆるシステムを連携させ、データが持つビジネスの可能性を縦横無尽につなぎ、かつてないシナジーを生み出し、新たな価値を創出することが必要です。“Beyond the Link. Drive the Synergy” をテーマに開催されたセゾン情報システムズの年次カンファレンス「HULFT DAYS 2018」で語られた先進企業の取り組み事例、そしてデジタルトランスフォーメーション時代を展望したキーノートの概要を紹介します。

開発生産性を向上させるトヨタ自動車の取り組み
DataSpiderを活用した基幹ホストアプリのモダナイゼーション

トヨタ自動車株式会社 エンジニアリングIT部 第2エンジニアリングシステム室 グループ長 鷲森 光太郎 氏

 自動車業界は今、100年に一度とも呼ばれる大変革の時代を迎えており、圧倒的な開発生産性向上が求められています。そうした中でトヨタ自動車では、顕在化していた「システム老朽化、UI操作性への強い要求」「レガシー資産の継続維持(ホスト要員減、ブラックボックス)」「再構築訴求の難しさ(ビジネスモデル不変、投資対効果)」の3つの課題に対応すべく、2015年から担当基幹システムの戦略的モダナイゼーション構想をスタートさせました。解決策として目指したのは、「オープン化環境への再配置、UI技術の刷新」「維持局面を見据えた処理の見える化」「投資抑制の超高速開発ツールの採用・組合せ」です。

 その基盤として用いたのが2014年からPoCを進めてきたDataSpiderで、バックエンド開発からパイロット開発、中規模・新規開発へと段階的に適用領域を拡大し、2017年より大規模モダナイゼーションでの活用を開始しました。

 一般的にEAIに対する期待は外部連携を簡素化することにありますが、実はそのメリットは業務アプリ開発の内部連携でも生かせるものであり、私たちはDataSpiderをバックエンドの「超高速開発ツール」として活用することにしたのです。

 今回モダナイゼーションを実施した対象は、各国当局への申請・認可取得のための車両認証情報を収集するシステムです。年間のユーザー数3,000人以上、資産規模は約120万行という大規模なもので、1車種あたり1万以上の申請項目を2週間で入力し、なおかつ万一誤入力や漏れが発覚すると販売停止にもつながりかねないという非常にミッションクリティカルなシステムです。

 UI刷新、新機能、処理高速化をモダナイゼーション方針とする新システムはオンプレの社内クラウド上に構築され、段階的な移行(脱ホスト化)を進めています。まず第一弾として設計者向け機能をDataSpiderを活用することで2018年4月末の早期リリースを実現することができました。

新システム構成とモダナイ方針

 具体的に要した期間は開発7か月およびユーザーテスト2.5か月で、これは旧システムとの比較で200%以上の開発生産性の向上となります。従来は数千ステップのプログラムを記述していた処理が1アイコンにまとめられ、特にExcel連携の開発生産性は圧倒的で、私にとっても非常に衝撃的でした。

デンソーが挑む次世代基盤への取り組み
DataSpiderを活用したデータ蓄積・交換サービス

株式会社デンソー 情報システム部 デジタル化推進室 デジタル化推進1課 福井 秀徳 氏

 デンソーの情報システム部門が抱える課題は大きく3点あります。

 まずは「グローバルへの対応強化」です。各地域のシステムが分断されている状況があり、グローバル化が進むビジネスを牽引する仕組みとして、各地域のシステム連携が急務となっています。

 次に「システム開発・運用の標準化」です。こちらも地域ごとの情報システム部門で開発方法が異なっているといった問題があり企業競争力の強化のためにも、標準化ならびにそれによるノウハウ集約が必須です。

 3つめは「システム&基盤の老朽化対策」です。過去に構築したシステムや基盤インフラの老朽化が著しく、地域やシステムごとに老朽化状況や対応スピードが異なる中で一貫した対策推進が求められています。

 これらの課題解決のアプローチとして、私たちはシステム間のデータ授受を一元的にサポートするグローバルなデータ連携基盤を構築することを決定しました。システム開発・運用の標準化の観点から単に利用ツールを規定するだけにとどまらず、開発/運用をパターン化することでさらなるQCD向上/一元管理を実現することを目指しました。また、システム&基盤の老朽化対策として、各システムをできる限り「疎結合」で連携することとしました。この考え方は今回のプロジェクトにおける非常に重要なポイントとなっており、新旧システムが入り混じる過渡期の状況下で、システムごとの稼働の違いや変更の影響を疎結合連携の仕組みで吸収します。

 そして、このグローバル連携基盤を支える中核ツールとして導入したのがDataSpiderです。SIパートナーのNTTテクノクロスに中立的な立場から複数の候補製品を比較・評価していただいた結果、機能とサポートの両面で優位性を示したDataSpiderを選定しました。決め手となったのは、HULFTとDataSpiderの組み合わせによりレガシーから最新技術まで幅広くカバーできること、部品化・再利用に対応した機能を有しており連携処理のパターン化に対応できること、グローバルでのサポート体制を整えていることです。

データ蓄積・交換サービス構成図

 グローバル連携基盤は、アジア、北米、欧州の各リージョンにおいて2019年度より実システムでの利用開始を予定しており、セゾン情報システムズ、NTTテクノクロス、デンソーの3社が一体となったプロジェクトチームにより、グローバルな規模で高品質な運用をサポートしていく考えです。

セキュリティが確保され、時代の変化に対応できる
柔軟なファイル連携基盤の構築へ

第一生命保険株式会社 ITビジネスプロセス企画部 IT運用管理課 次長 吉留 栄太 氏

 マイナンバー制度の施行に伴い、第一生命の基幹システムにおいて今まで以上に多くの情報連携が必要となりました。そしてこれを機に、これまでユーザー主導で導入され複数のツールが乱立していたファイル連携基盤を統一したいと考えました。

 こうした時代の変化に対応できる柔軟なファイル連携基盤を構築すべく、導入に至ったのがHULFTおよびHULFT-HUBです。

 背景として、既存のシステムで課題となっていたのが「セキュリティ強化」です。生命保険会社はお客様の病歴や身体的特徴といった機微情報を大量に扱うため、高まるリスクに対応したより強固なセキュリティを常に追求し続けなくてはなりません。また、「環境変化への柔軟な対応」という観点から、転送先の変更や多様化する転送ニーズに迅速に応えていく必要があります。

 そこでHULFTおよびHULFT-HUBの導入後のあるべき姿として、「機微情報を安心して連携できるシステム」というビジョンを掲げました。特に重視したのは暗号化で、HULFTを標準採用することでAES暗号への対応、通信経路の暗号強化を図りました。加えて送達確認後のデータ削除を可能とすることでセキュリティを強化しました。

 一方、「変化への対応力のあるシステム」という観点からは、ITガバナンスを行き届かせつつ、自由自在にファイル連携ができる仕組みを目指しました。ファイル転送をHULFT-HUBに集中することでコード変換の管理を一か所に集中。さらにDataMagicを組み合わせることで、多くのコード変換パターンに対応すると共にその処理を高速化しました。

導入後のシステム図

 現場で感じたHULFTおよびHULFT-HUBは、製品とサポートの両面から非常に安心感が高く、今では電気やガス、水道と同じように、私たちにとって「あって当たり前」のインフラとなっています。

 今後に向けては、クラウド時代に対応したシステム基盤、市場シェアのさらなる拡大を後押しする接続容易性の確保など、いわゆる「モード2」を見据えたシステム変革に取り組んでいく考えです。そうした中でHULFTに対しては、国内外や業種を問わず、ますますデファクトスタンダードなデータ連携基盤であり続けることを期待しています。

Beyond the Link. Drive the Synergy
DXが加速する中で求められるデータ活用戦略

株式会社セゾン情報システムズ 常務取締役 CTO 小野 和俊

 昨今、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)というキーワードが注目されています。デジタル技術をフルに活用し、企業の事業競争力そのものを高めていくものです。しかしながら、DXへのシフトは思うように進んでいないのが現実です。

 そうした中で今年の9月、経済産業省は「2025年の崖」という非常に衝撃的なレポートを公開しました。2025年までにレガシーシステムをモダンなシステムにリプレースしないと、企業は崖に落ちる(破局を迎える)というものです。とはいえ、今から7年しか時間が残されていない中で、既存システムのすべてを刷新するのはあまりにも困難です。

 そうなるとやはり、各システムの特性を見極めつつ、レガシーなシステムとモダンなシステムを共存させていくしかありません。ウォーターフォール開発で安定性重視の「モード1」と、アジャイル開発で速度重視の「モード2」をバイモーダルで「2025年の崖」を飛び越えることが現実解になるというのが、私たちの基本的な考えです。

 あらためて「2025年の崖」の内容を読んでみると、なぜ2025年までにレガシーシステムをモダナイゼーションせよと経済産業省が言っているのか、そこには大きく2つのポイントがあります。「既存システムがブラックボックス化している」こと、もうひとつは「データ連携ができない」ことです。今でさえ「情報の洪水」と言われていますが、例えば今後IoTが普及し、さまざまなセンサーからデータが集まるようになると、情報の海はますます広大かつ深淵なものとなり、データを把握することの困難が増していきます。

 この課題解決に向けて求められるのが、分散化したデータの現在の姿を正しく把握する「地図」です。私たちが現在開発を進めている「DataCatalog」は、まさにその役割を担っていく今後のデータ活用戦略の基盤となるもので、メタデータを一箇所に収集し管理することにより、データの正確な「地図」を作ります。これにより「重複したデータが散在していないか?」「データはどこに統合されたのか?」「新たに使われるようになったデータはあるか?」「使われなくなったデータはどこか?」といった内容を簡単に把握し、データ活用戦略の“次の一手”を素早く立案し、実行することができます。

 セゾン情報システムズは「HULFT」や「DataSpider」などデータを“つなぐ”ことに特化した製品を提供してきましたが、そこにDataCatalogを連携させることで、データをより包括的に把握し、活用することが可能となります。

「DataCatalog」の機能(予定)

●お問い合わせ先

株式会社セゾン情報システムズ
URL:https://www.hulft.com
E-mail:info@hulft.com
 

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