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ブルーオーシャンを開拓し続けるワークマンの「データ経営」

2019年4月8日(月)杉田 悟(IT Leaders編集部)

「他社と競うことなく、常にブルーオーシャン開拓を目指す」ことで急成長を遂げてきたのが、作業服小売大手のワークマンだ。その独自の経営戦略は、同社の徹底した「データ経営」と密接な関係を持っている。2019年3月7日に開催された「データマネジメント2019」で、同社の役員席 常務取締役 経営企画、情報システム、ロジスティックス担当の土屋哲雄氏が、その一端を明らかにした。

写真1:自社の「データ経営」を説明するワークマン役員席 常務取締役 経営企画、情報システム、ロジスティックス担当の土屋哲雄氏

 ワークマンは、国内832店舗のフランチャイズ展開を行う作業服小売の大手チェーン。スーパーマーケットのベイシア、ホームセンターのカインズともにベイシアグループを形成している。作業服では競合の第2位が50店舗、3位が43店舗となっており、圧倒的なシェアを誇るトップランナーであることがわかる。近年、アウトドア市場に「ワークマンPlus」でアパレル市場に参入、新たなブルーオーシャンとしてシェア獲得を目指しているところだ。

徹底した店舗の標準化が「データ経営」の源

 ワークマンの最大の特徴の1つが、きわめて標準化の図られた店舗展開、商品展開を行っていること。直営28店、業務委託75店、フランチャイズ729店という内訳の全832店舗について「徹底した標準化」が実施されている。

 店舗はほとんどが100坪の標準店舗で品揃えは全国97%が共通、特売を行わないので毎日同じ価格というのが「徹底した標準化」の正体で、凹凸を揃える必要のない「ゴミのないデータ」(土屋氏)を持っていると自負している。これが同社の掲げる「データ経営」のベースとなっている。

 データ経営を実践するツールとしてまず考えられるのがBIツールだが、ワークマンではBIツールの活用もユニークだ。

 同社がBIツールを導入したのが2015年。それに先立つこと2年前から社内研修として「データ活用研修」を実施してきた。土屋氏曰く、社内研修で大事なのは「試験を実施して平均90点を取らせること」。社員の現在地を知ることではなく、あくまでも全体を底上げすることが研修の目的なので、点数が低いとやる気が削がれる。「できるだけ良い点数を取らせて、受験者満足度を上げるようにする」。自分はできると思い込むと結果が良くなり、会社の底上げにつながるのだという。

 研修の成果はすなわち、BIを使いこなせるようになること。現在、4、5割が使いこなせる人材となっており、中には3カ月間に1934回もBIツールにアクセスする強者もいるという。平均では1人あたり1日5回程度のアクセス数で、土屋氏は「物足りない」と考えていたが、ベンダーに聞くと「1日1回でも見てもらうのは大変なこと」だというので、研修の成果は大いにあったと言える。

需要予測による「善意型サプライチェーン」

 そんな「データ経営」を掲げるワークマンのロジスティクスを支えているのが「需要予測による善意型サプライチェーン」(図1)。この原則が「需要予測に基づき、情報優位者が納入数量を決める」ことにつながっている。

図1:ワークマンが掲げる需要予測による善意型サプライチェーン(出典:データマネジメント2019発表資料)
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 従来の発注形態は、加盟店がワークマン本部に発注し、それを基にワークマン本部が各ベンダーに発注を掛けるというものだった。新たなサプライチェーンでは、国内仕入れの13%を占める小口ベンダーに関しては需要予測に基づいて従来どおりワークマンから発注を行うが、残りの87%を占める国内主力ベンダーに関しては、ワークマンから発注書は送らず、需要予測に基づいてベンダーが数量を決めて納品するという形をとった。

 主力ベンダーは、その道30年、40年のベテランが在籍し舵取りをしているうえに、ワークマン以外の店舗も見ているので、情報優位者と判断、さらにワークマンから個店の売り上げ、地域の売り上げ、個店の在庫、DC(物流センター)の売上、在庫まで提供し、ベンダー側で商材や数量を自主的に決めて自主納品するようにした。納品された商品はワークマンが全品買い取るので、リスクはワークマンにしか発生しない仕組みだ。まさにベンダーの「善意」に任せたサプライチェーンだ。

 メーカーの担当者からすれば、自社利益を優先させるのか、ワークマンが損しないようにするのかの葛藤があると想像できるが、「日本人は良心的。だいたいワークマンのために納品してくれる」という。実際、主力ベンダーからの自主納品にしたことで、サービス率が93%から97%に上昇、在庫回転日数は27日から24日に短縮されたという。土屋氏曰く「善意に頼ると仕事してくれる」。

 一方、加盟店に対しては、ワークマン本部が情報優位者となるので、ワークマン本部からの自主納品となる。ただし、加盟店の多くには独立した経営者がいるので、一括発注ボタンを設置、何を買うかはワークマン本部が決めるが、最終決定は店舗の経営者が行うようにした。

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