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北海道で自治体における共同利用型RPAの実証実験─NTT-ATなど5社

2019年4月24日(水)IT Leaders編集部

北海道において、自治体における共同利用型RPA(ロボットによる業務自動化)の実証実験が2018年10月から2019年3月にかけて行われた。NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)、HARP、アライズイノベーション、HBA、NTT東日本北海道事業部の5社が2019年4月23日、同実証実験の概要と結果を発表した。

 2018年10月から2019年3月までの間、北海道や北海道内の9個の自治体の協力を得てRPAの実証実験を行った。自治体が共通的に実施している定型的な業務を対象に、RPAと、AI-OCR(光学文字認識)を用いた業務効率化の可能性を検証した(図1)。

図1:自治体における共同利用型RPAの実証実験の概要(出典:NTTアドバンステクノロジ、HARP、アライズイノベーション、HBA、NTT東日本)図1:自治体における共同利用型RPAの実証実験の概要(出典:NTTアドバンステクノロジ、HARP、アライズイノベーション、HBA、NTT東日本)
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 住民生活に身近な行政サービスは自治体が支えているが、今後、人口減少などにより、労働力不足が課題として表面化することが予想されている。このような環境変化に対応するため、AIやロボティクスといったICT技術の活用や行政業務の標準化・共通化による「スマート自治体」への転換が求められている。

 こうしたことを背景に、NTT-ATなど5社は、北海道をはじめ道内の9自治体を検証フィールドとして、多くの自治体が共通的に実施し、かつ多くの労力を要している定型的な業務を標準化・共通化して、RPAに自動処理させる仕組みを共同利用型で構築し、実証実験を実施した。

 また、多くの行政サービスで利用されている帳票や申請書などの紙書類を読み取り、機械識別可能なテキストデータに変換するAI-OCRを、RPAの前処理として活用する実験をあわせて実施し、その識字率や課題などを検証した。

 今回、検証フィールドとして参加した自治体は、北海道、函館市、滝川市、富良野市、登別市、音更町、釧路町、弟子屈町、占冠村である。

 各社の役割としては、NTT-ATがRPAツール「WinActor Cast on Call」の提供とRPAシナリオ開発、アライズがAI-OCR製品である「AIRead」の提供、HARPがLGWAN-ASPのクラウド基盤構築とRPAシナリオ開発、NTT東日本がネットワーク環境のサポート支援とRPAシナリオ開発、HBAが自治体業務のノウハウ提供とRPAシナリオ開発を行った。

 具体的には、北海道と道内自治体でWinActor Cast on CallやAIReadを活用して、自治体における共通的な業務での実証実験を2019年3月末まで実施した。自治体で大量に扱われている紙からデータに変換する処理をAI-OCR、自動処理をWinActor Cast on Callで行い、自治体業務の変革につなげる取り組みと位置づけた。対象業務(シナリオ)は以下の通り。

シナリオ1:単価契約の変更契約業務
燃料などの市場価格変動によって生じる契約変更に必要となる、決裁関係書類一式を作成する
シナリオ2:ワンストップ特例申請の省力化
寄付者のふるさと納税のワンストップ特例申請書から、寄付元自治体へ通知するeLTax用データを作成する
シナリオ3:給与支払報告書の入力支援
事業所などから送られてくる給与支払報告書を基幹システムへ取込むため、取込フォーマットに成形する
シナリオ4:要介護認定申請の入力支援
要介護レベルの一次判定のため、調査員のヒアリング結果を認定判定ソフトへ入力する

 結果、シナリオにより異なるが、RPAにより職員の作業を最大9割低減できることを検証できたとしている。

 また、動作環境を踏まえた業務フローの見直し、共同利用を考慮した様式の標準化、他システムとの接続を考慮した出力、OCRの識字率を踏まえた最終確認作業、利用者を意識した操作性などに関する課題を抽出できたという。

 NTT-ATら各社は今後、これらの結果をサービス開発の材料として、自治体における業務改善・効率化の支援を検討していく考えだ。

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