デジタルマーケティング デジタルマーケティング記事一覧へ

[事例ニュース]

竹中工務店、AIとBIMを用いた「人流シミュレーションシステム」を開発

建物完成後の人流や交通量を計画段階で可視化

2023年12月11日(月)IT Leaders編集部

竹中工務店(本社:大阪府大阪市)は2023年12月7日、「人流シミュレーションシステム」を開発したと発表した。AIによる人の動きのシミュレーションと同社が蓄積してきたBIM(Building Information Modeling)データを活用し、現実に近い形で人の行動を再現する。建物の建築計画や設計プラン、什器などの配置計画に合わせ、建物完成後の人流や交通量などをシミュレーションする。

 竹中工務店の「人流シミュレーションシステム」は、現実に近い形で人の行動を再現可能なシステムである。建物の建築計画や設計プラン、什器などの配置計画に合わせ、建物完成後の人流や交通量などをシミュレーションする。

 同システムは、同社が建物内外や広場、駅、展示会場などで計測・蓄積した人流計測データとAIによる人の動きのシミュレーションを組み合わせている。人の行動を現実に近い形で再現できるとしている(画面1)。

画面1:「人流シミュレーションシステム」を使ったシミュレーションのイメージ(出典:竹中工務店)

 ゲーム内のキャラクターが人間らしく自身の周囲を知覚・記憶・思考してふるまう「ゲームAI」とBIM(Building Information Modeling)による3Dモデルを用いてシステムを構築した。シミュレーション上の人間は、現実さながらに周囲の状況に応じて行動し、実際の人間の行動に近い人流を再現できるという。

 ゲームAIに、性別、年代、趣味趣向などの要素を組み込み、各種行動の統計値や計測値を反映した動きを再現する。例えば、面白い展示物の前で立ち止まったり、疲れた時に休憩したり、といった自然な行動をシミュレーションの目的に合わせ、現実に近い形で再現・可視化する。1つの施設プランにおいて複数のシーン(平時やイベント時、曜日や時間ごとなど)でのシミュレーションに対応している。

 シミュレーション結果は、建物設計図の3Dモデル内で共有でき、通路幅や展示物の配置変更、混雑緩和などのプランを検討する際に結果を確認しながら発注者との間で合意を形成できるようになるという。

 同社はすでに複数のプロジェクトで活用している。シミュレーションの事例に、(1)展示施設における計画段階での活用例や、(2)屋外公共空間における計画段階での安全検証の活用例などがある(画面2)。

画面2:「人流シミュレーションシステム」を展示施設や屋外公共空間に活用した例(出典:竹中工務店)
拡大画像表示

 (1)展示施設の入場口やアプローチ通路を検討する目的で、通路幅や出入口の開口寸法を変化させるシミュレーションの例である。既存施設の来場者実績値を基にカップル、家族などのグループ構成や世代などを与条件として反映。各パターンでの混雑具合を発注者と視覚的に共有したことで、入場口やアプローチ通路幅などの計画の決定に役立ったという。

 (2)歩行者と自転車が行き交う屋外公共空間では、滞留などで歩車の接触が起こりやすくなる。ここに、複数の要素(想定来場者数、自転車交通の割合、店舗など人が立ち寄る施設、周辺のイベント開催による一時的な通行量増加など)を加えて分析することで、より安全な公共空間の実現に向けた対策を講じることができたという。

関連キーワード

竹中工務店 / 建築 / BIM / CAD/CAE / 建設 / 大阪府 / 大阪市 / マーケティング

関連記事

トピックス

[Sponsored]

竹中工務店、AIとBIMを用いた「人流シミュレーションシステム」を開発竹中工務店(本社:大阪府大阪市)は2023年12月7日、「人流シミュレーションシステム」を開発したと発表した。AIによる人の動きのシミュレーションと同社が蓄積してきたBIM(Building Information Modeling)データを活用し、現実に近い形で人の行動を再現する。建物の建築計画や設計プラン、什器などの配置計画に合わせ、建物完成後の人流や交通量などをシミュレーションする。

PAGE TOP