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[データマネジメント2012]

【session 01】システム化の歴史と共にデータの高度な利活用を目指してきた東京証券取引所

2012年5月10日(木)

時代とともに進化を続ける東証のシステムとマスターデータ管理 サービス全体がITによって支えられている東京証券取引所(以下、東証)だが、現在の形になるまでは紆余曲折もあった。特にデータの活用については、マスターデータをどう管理するかが大きな課題になっていた。ここでは東証におけるシステム化の歴史と進化してきたマスターデータ管理、さらなる最適化を目指す取り組みについて紹介する。

現在の東証のネットワーク「arrownet」では、証券会社などから注文が入ると現物取引システム「arrowhead」や現物立会外取引システム「ToSTNeT」などから約定通知が返されるようになっている。同時に、「ISC」にて指数が算出され、これらの情報は相場報道システムを通じて報道機関などに提供。約定データは清算システムに受け渡され、金銭や株式授受の処理が行われる。情報系のシステムとしては、「TDnet」によって上場企業の情報を開示するほか、所報などを授受する「Target」や総合的な情報サービス「TMI」などで情報を提供している。

データ活用を進めるために標準化のための仕組みを確立

坂本忍氏 株式会社東京証券取引所
ITサービス部
マネージャー
坂本 忍 氏

この仕組みは一朝一夕にできたものではない。設立当初は、上場会社や取引参加者の情報は原簿に記録されていた。その後、メインフレームが導入されて情報がデータ化されたが、東証の各部署や証券会社は、日々配布される所報を基に各自のデータ更新を行なっていた。

本格的なデータ活用に向けての取り組みは、1989年の「GENESIS」の開発に始まる。東京証券取引所 ITサービス部 マネージャーの坂本忍氏は「『GENESIS』によって事務処理情報がオンライン化されたことで、原簿の管理などがシステム化されたのがデータ活用の端緒になりました」と話す。2001年には、各部署がそれぞれ保持していたマスターデータを集約する社内用データベース「MDB」が開発され、データを直接利用したいという要望が出てきたという。

ただ、これらのシステムはあくまで業務支援システムとして構築されたものであり、複数のシステムが独立して運用されていた。そのためにデータの連携やデータの特定に手間や時間がかかるなど、さまざまな課題があった。

そこでマスターデータの管理システムとして、2008年に標準化されたデータを流通させる「SEED」が導入された。「まず東証が扱う各種業務データを全体最適の観点からモデリングし、定義や入力運用を明確化するためにデータ管理協議会『eDIC』を設立しました。SEED はこのeDICが定義、管理する論理データモデル『東証EDM』に準拠して運用されています」と坂本氏。

各システムは東証EDMを参照して共通の枠組みで構築され、eDICによって規程されたフォームを活用してデータを管理することになった。eDICはシステム間のデータ連携を管理するほか、外部へ公開するデータも管理している。

SEEDの導入によって標準化が進んだが、同時に課題もある。現行のシステムでは業務支援、銘柄管理、マスター管理の役割が混在しているため、処理が複雑で制度変更やマーケット環境の変化に対して迅速に対応することが難しい。

そのため現在、東証では役割を分離して整理する取り組みを行なっている。それが東証EDM 「Ver.3」である。坂本氏は「各役割に特化したシステム構成にすることで業務やシステム処理をシンプルにするほか、制度変更時に改修個所を局所化することを目指しています」とその狙いを語る。同社のシステムはこれからも進化し続けていくのだろう。

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