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保険証券を持ち歩けるスマホアプリがグランプリに――MCPC award 2013

2013年5月9日(木)河原 潤(IT Leaders編集委員/データセンター完全ガイド編集長)

モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)は4月19日、東京都内で「MCPC award 2013」を開催し、モバイルシステムを導入・活用し顕著な成果を上げた企業・団体を表彰した。会場では表彰式に先立ち、グランプリ(大賞)候補5事例の最終プレゼンテーションが行われ、スマートフォンやタブレットの特性を生かしたユニークで実効性のある事例・施策が披露された。本稿では、本年度のグランプリを授賞した、三井住友海上火災保険の取り組みを紹介する。

11回目を迎えた、企業のモバイル活用アワード

MCPC awardは、国内の企業・団体におけるモバイルシステムの導入事例について、「業務効率化」「業績向上」「顧客満足度向上」「社会貢献の推進」「先進的なモバイル活用」などの観点で審査委員会が採点し、グランプリをはじめとする各賞を選出している。2003年より年次で開催され、今年で11回目を数える。

2013年度のグランプリ候補として最終審査に残ったのは、大阪府立急性期・総合医療センターの「災害対応傷病者情報管理システム 3SPiders」、日本瓦斯の「システム雲の宇宙船」、三井住友海上火災保険の「スマ保」、ロジックの「Care-wing介護の翼」、WiMAXキャンパスネットワーク開発チームの「モバイルWiMAXキャンパスネットワーク接続」の5事例である。

各社15分の最終プレゼンテーションが披露された後、最終審査が行われ、本年のグランプリおよび総務大臣賞に、三井住友海上火災保険が開発したスマートフォン(iOS/Android)用アプリケーション「安全運転アプリ スマ保」が選ばれた。

東日本大震災での教訓から生まれた「スマ保」

スマ保は2012年8月に最初のバージョンがリリースされ、翌2013年3月には25万件のダウンロードを達成している。開発コンセプトは「保険をてのひらに。」で、業界初の試みとして、自動車損害保険証書をスマートフォンに格納して持ち歩けるようにした自動車保険契約確認・更新機能が最大の特徴となっている。最終プレゼンテーションを担当した同社商品本部・企画チームの松岡輝恭氏は、同アプリの開発に取り組んだ背景として、少子高齢化、国内労働人口の減少などによる国内市場の伸び悩みに加えて、2011年3月の東日本大震災発生を挙げ、次のように説明した。

「大震災のとき、津波や家屋倒壊によって家財道具とともに保険証券が流されてしまい、保険会社への連絡もままならなかったお客様がたくさんいらっしゃいました。一方で、携帯電話だけはほとんどの方が肌身離さず持っておられたようです。そこで、もしスマートフォンの中に保険証書を入れて携行できれば、必要になったときにすぐに参照・提示できるのではないだろうか。こうしてお客様がされた経験を基にして、スマ保のアイデアが生まれました」。

写真●「安全運転アプリ スマ保」の最終プレゼンテーションを行う三井住友海上火災保険 商品本部・企画チームの松岡輝恭氏

保険契約確認・更新機能のほか、スマ保では、「『運転力』診断」「緊急時ナビ」といった安全運転および事故防止を支援するための機能・サービスが提供されている。『運転力』診断は、ドライバーの運転の傾向をわかりやすく分析・診断するほか、事故などの衝撃を感知し、衝撃前後の画像をスマートフォンの内蔵カメラを用いて自動的に録画する機能。また、緊急時ナビゲートは、自動車事故の状況に応じた対処方法を画面でナビゲートする機能で、スマートフォンの内蔵GPSによる位置情報や証券番号などが「おクルマQQ隊」に送信され、レッカーけん引サービスなどをスムーズに受けられるようになるという。なお、これらの機能は、同社の保険契約者以外のユーザーも利用が可能になっている。

審査委員の質疑応答では、「ユーザーによる運転技術の自己診断の結果によって、保険更新料率が変更されるような仕組みは可能なのか?」という質問が挙がった。この質問に対し松岡氏は「現状ではあくまでセルフチェックを目的にしていますが、将来的にはお客様のデータを新しい商品の開発に生かせればと考えています」と回答。今後も継続的にアプリの機能拡張を図って、顧客に新たな価値を提案していく姿勢を示した。

写真●MCPC award 2013の受賞企業・団体と審査委員

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