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IPネットにつながる機器の電力消費量を可視化するCisco Energywise Management、8月にはクラウドサービスも

2014年6月13日(金)

米シスコシステムズの日本法人がIT関連機器の省電力化に向けたを仕組みの提供に本腰を入れている。IPネットワーク上で、「Cisco EnergyWise Management」と呼ぶソフトウェアを運用することで、通信機器やPC、複合機(MFP)などの電力消費量を可視化。使用状況に応じて電力のON/OFFを遠隔地から制御する。2014年8月には、最新版となるバージョン5を投入すると同時に、クラウドサービスも提供する計画だ。この8月15日までは、「電力削減コンサルティングキャンペーン」を無償で提供する。

 EnergyWise Managementは、IPネットワークにつながっているPCやサーバー、ネットワーク機器、プリンタや複合機などの電力消費量を集中的に取得し可視化するためのソフトウェアである。シスコが展開するPoE(Power over Ethernet)と組む合わせれば、ネットワーク機器への給電と制御をLANケーブル1本で済ませたり、アダプタを介して接続したLED照明を点けたり消したりといったこともできる。

 監視対象になる機器側に特別なソフトウェアなどをインストールする必要がないことも、EnergyWise Managementの特徴だ。サーバーなど電力センサー内蔵機器の場合は、その数値をシスコ製スイッチを介して取得する。センサーを搭載していないPCなどの場合は、データベース化している製品スペックから電力使用効率を求めておきCPU使用率を測定することで、電力消費量を算出する。

 取得したデータは、ダッシュボード機能を使って可視化する。一般に、オフィスの省電力活動の第一歩は消費電力の可視化からだとされる。節電に努めているつもりでも、実際にどれくらいの電力を消費しているのか、節電によってどれだけ省電力化が図れたのかは、可視化機能なしには実感ができないからだ。

 特に、会議室やフリーアドレス制度を導入しているフロアなどは、その場所のオーナーあるいは管理責任者が不明瞭なため、省電力活動が他人任せになりがちだ。例えば会議室を退出する際でも、「直ぐに次の人が使うかもしれない」と考え、むしろ親切心から照明や空調を切らないということは、ありがちな場面ではないだろうか。

 こうした状況を変えるきっかけになるのが、電力消費量の可視化なのだ。Energywise Managerは、70種類のレポートを持ち、時間帯別や曜日別などの消費電力をグラフで表示する。稼働率が低いサーバーを見つけ出したり、モデル比較による電力料金の削減額をシミュレーションしたりも可能である。

写真1:Energywise Managerを使った消費電力の可視化例
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 これらのグラフは、1つひとつをウィジェットとして切り出せるので、必要なグラフだけを社内ポータルサイトに張り付け、全社で最新の電力消費状況を共有するといった利用もできる。

 単なる可視化に留まらず、予め設定したポリシーに沿って電源のON/OFFを自動的に切り替えることも可能だ。一定の時間帯だけ電源をONにしたり、電力の消費量を追跡し、一定時間以上、電力が使われていなければ電源をOFFにするといったこともできる。

 最近は、IP電話の導入が進んでいるが、IP電話が常時、電力を消費していることは見落としがちだ。Energywise Managerを使い、夜間や休日にはIP電話をスリープモードで運用するだけでも、消費電力の削減につながる。

 さらに、BEMS(Building Energy Management System)と連携を図り、証明や空調などを含めた一体運用や、グループウエアなどが持つ会議室予約システムなどと連携して、予約時間に合わせて証明を自動的に点灯/消灯させるといった自動化も図れる。

 Energywise Managerが監視する対象は、一般オフィスだけでなく、データセンターも含まれる。事前に設定した電力消費量のしきい値を超えると、運用管理者にアラートメールを送信したり、運用管理システムと連携しサーバーの稼働状況を切り替えるといったことも可能になる。

写真2:データセンターを対象にEnergywise Managerを適用した場合の画面の例
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 Energywise Managerは、シスコが2013年7月に買収したJouleX製のソフトウェアである。それまでは、シスコのスイッチ環境下でIT関連機器の電力消費量を収集する「Energywise」と組み合わせるパートナー製品の1つだった。買収により、シスコがデータの収集から管理までを提供する形になった。

 こうした経緯もあり、日本市場では特に、Energywise Manager(旧Joulexを含む)の販売が本格化してこなかった。空調機器を中心に機器の省エネ化が促進されていることから、高価な管理システムを導入しても、その導入資金を回収するだけの消費電力削減効果が得にくいという実態もあった。

 しかし、2011年3月11日の東日本大震災後は、電力供給体制が不安定だったり、電気料金の値上げが続いていることもあり、企業における電力消費量削減が改めて重要になってきている。政府もBEMS導入に補助金を付けるなど、電力消費量の可視化や遠隔制御に力を入れている。

 こうした背景を追い風に、シスコにすれば、Energywise Manager関連事業に弾みを付けたい考えだ。その一環として、2014年6月11日から13日に開かれたInterop Tokyo 2014に出展し、Energywise Managerの存在をアピール。さらに8月には最新版となるバージョン5を投入すると同時に、クラウドサービスとしての提供を開始する計画を立てている。

 Energywise Managerのソフトウェア利用料は、PCが1台当たり年間800円、PC以外のIT機器は1台当たり300円となる(参考価格、実際の価格は取り扱いパートナーに要確認)。監視対象にする機器台数に応じた料金割引も用意する。

 なお、シスコは8月15日までの期間限定で、「電力削減コンサルティングキャンペーン」を展開している。管理対象機器が500台以上になる企業を対象に、まずは1拠点、1ネットワーク、50台までのIT関連機器の消費電力を無償で可視化する。2週間の測定結果を元に、電力削減効果が期待できる制御ポリシーを設計。そのポリシーに沿ってさらに2週間、消費電力を測定し、電力の削減効果やROI(投資対効果)を試算する。
 

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Cisco Systems / 電力消費 / IPネットワーク / EnergyWise / BEMS / JouleX

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