[市場動向]

千葉市、クラウドベースの市民協働プロジェクト「ちばレポ」を本格稼働へ

2014年8月29日(金)五味 明子(ITジャーナリスト)

千葉市が、地域環境の不具合を市民と共有し、素早く確実に対応するプロジェクト「ちばレポ」を本格始動させることを2014年8月28日に発表した。モバイルとクラウドを活用した市民協働プロジェクトの先駆けとして注目される。

 「道路が陥没している」「公園の遊具に不具合を見つけた」「街路樹にカラスの巣がある」…。安全で住みよい街を維持するためには、日々発見される諸問題を、素早く着実に解決していかなければならない。千葉市は最新ITを活用し、住民と自治体が一体となって取り組むことができる仕組みを2014年9月18日から本格的にスタートさせる。

 名称は「ちば市民協働レポート(ちばレポ)」。市民から写真および位置情報付きのレポートをスマートフォン経由で送信してもらい、その課題を市民と市役所で共有しながら解決にあたるというのが基本的な仕組み。システムのバックエンドにはSaleforce.comのCRMを活用する。千葉市は2013年度から実証実験を積んできており、モバイルとクラウドを活用した市民協働プロジェクトの先駆けとして注目される。

地域住民と自治体が一丸となる足がかりに

 ちばレポは、公共施設の管理に関する不具合を地域課題として市民と共有するプロジェクト。当初は「道路」「公園」「ごみ」「その他」の4分類でスタートする。課題を発見した市民(レポーター)は専用のモバイルアプリ(iOS/Android)を使って当該箇所の画像を撮影し市役所に報告する。静止画は最大3点、動画は1点で、いずれも位置情報付きで送信される。このため、市民が逐一その場所の住所を調べる必要はない。送られたレポートは、クラウドベースのCRMシステムに集約される。

画面 モバイルアプリの画面例。レポートを送信する際には、短いコメントも付けられる(右)。送信したレポートの進捗はアイコンの色で確認可能。黄色は受付済み、青は対応開始、緑は解決済みといった具合だ(左)。
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 市役所は受け取ったレポートを、「市民の力で解決できる課題」「市役所でなければ解決できない課題」に切り分け、受付/対応開始/対応完了といったステイタスをWeb上で公開。当然ながら、公開前にはプライバシー面で問題ないかを厳重にチェックする。モバイルアプリには、レポートを送信するのみならず、公開済みの他のレポートを閲覧したり、自分が送信したレポートの進捗状況を確認したりといった機能が備わる。

写真 発表会に臨んだ熊谷俊人市長

 発表会に臨んだ熊谷俊人市長は、「ちばレポは通報するためではなく、市民と一緒に課題を解決することに重きを置いている。このアプリを使う習慣をつけてもらうことが重要なので、親しみを持てるようインタフェースを工夫し、現場部隊の意見も数多く採り入れた。将来的には、市民のための便利アプリ集を揃えるまでに発展させたい」とコメントした。

市役所の業務を抜本改革する


  レポーターの参加資格は、千葉市内在住/在勤/在学の市民。レポーターの募集は28日から始まっており、ちばレポのWebサイト(http://chibarepo.force.com/)から応募できる。モバイルアプリをApp StoreまたはGoogle Playからダウンロードし、レポーター登録を行う必要がある。千葉市は「3年間で5000人の登録を目指す」としている。

 千葉市は「ちばレポ」の特徴として、(1)ICT活用による、市民が市政に参加できる新たな手法、(2)地域課題情報の一元管理や市民協働による行政改革の推進、を挙げる。「地域の課題はこれまで、電話やFAXで受け付けExcelの台帳で管理していた。一連の流れをクラウドベースで管理することにより、市役所の業務改善やデータ分析につなげることができる。新しい時代には新しいツールが必要」(熊谷市長)と強調する。

画面2 ● CRMでの管理画面例。市役所側はレポーターから送られたレポートをここで管理する
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 千葉市における年間の不具合報告は目下、土木に関して約1万3000件、公園に関して約2000件の規模がある。これらを「ちばレポ」にシフトすることができれば、大幅な業務改善が期待できる見込みだ。「クラウドベースなので、他の自治体も導入しやすい。今回の取り組みを足がかりに、自治体によるクラウドやデータの活用において、千葉市がデファクトスタンダードと評価されることを目指したい」(熊谷市長)。

 ちばレポのシステム開発は千葉システムコンサルタントが担当する。千葉市は運用開始から終了までに5年間で6600万円の予算を組んでいる。

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