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[市場動向]

改めて「DevOps」の本質を考える、「開発と運用が密に連携」は正しいか?

2015年6月9日(火)田口 潤(IT Leaders編集部)

2015年5月末から6月の第1週にかけて、「DevOps」について議論する機会が何度かありました。言うまでもなくDevelopment(開発)とOperation(運用)を組み合わせた造語ですが、「日本では今もDevOpsの考え方が正しく理解・認識されているとは言えない」という指摘が複数あったのです。どんな理解が正しいのか、どう理解すればいいのか、ここで考えてみます。デジタルビジネス時代の情報システム部門の役割を考える上で、とても大事だと思うからです。

 まずDevOpsの一般的な定義を見てみましょう。『Wikipedia』では次のように説明されています。

「DevOps(デブオプス)は、ソフトウェア開発手法の一つ。開発 (Development) と運用 (Operations) を組み合わせたかばん語であり、開発担当者と運用担当者が連携して協力する開発手法をさす(本誌注:かばん語は、2つ以上の語の一部を組み合わせて作った造語のこと)」

 他のIT関連用語サイトはどうでしょうか?

 『日立ソリューションズ IT用語辞典』では、以下のように説明されています。

「DevOpsとは、開発(Development)と運用(Operation)を組み合わせたもので、開発と運用が密に連携して、運用側が要求する新機能や改修などの開発を行なう手法や概念を指す。開発部門と運用部門、および品質管理部門が密に連携することによって、大規模な開発を長期間かけて行なってリリースするのではなく、小規模な開発とリリースを繰り返すようにする」

 『IT用語辞典e-Words』では、こうです。

「DevOpsとは、ソフトウェアの開発担当と導入・運用担当が密接に協力する体制を構築し、ソフトウェアの導入や更新を迅速に進めること」

 担当者、部門など細かな言葉の違いはありますが、おおむね「開発と運用が連携してシステム(アプリケーション)の開発や導入を迅速に行うこと」と言っていいでしょう。開発チームと運用チームの協力・連携が大事であり、それを一言で示すのがDevOpsというわけです。心構えや組織論の話なんですね。

 しかし「そういう認識は誤り。システム部門に何ら利点をもたらさない」という主張が増えています。米ガートナーのジェフ・ブルックス氏は「ビジネスからのスピードに対するプレッシャーは大きくなる一方です」と述べ、その上で米国のEtsyというEC事業者の取り組みに言及しています(関連記事)。

 「Etsyがアプリケーションを改変し、運用環境にデプロイする件数は1日200〜300件に及びます。開発、テスト、展開において、これだけのスピードを実現することがIT基盤・運用管理部門に求められるのです。それを実現する手段の1つがDevOpsです」

 開発ツール企業の米Rational(米IBMが買収)にかつて在籍し、現在はCA Technologiesに勤務する渡辺 隆 氏も同様な意見です。「DevOpsを一言で示すと“1日に10回デプロイできること”です。10回に意味があるわけではなく、20回でも100回でもいいのですが、それくらいの頻度でアプリケーションをデプロイすることが本質です」

図:INGグループのING Bankは月間1万8000回もデプロイを実施している図:INGグループのING Bankは月間1万8000回もデプロイを実施している
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 そう言って同氏が提示するのが、世界的金融機関であるINGの銀行部門におけるDevOpsへの取り組み。利用者向けのモバイルアプリケーションなどで月間1万8000回もデプロイしているといいます(図、関連資料)。ここでいうデプロイ(deploy)とは、開発したプログラム(コード)をビルドして、動く環境に配置すること。動く環境とは開発環境、または本番環境です。

 両氏に共通するのは、デプロイの回数(スピード)を重視していること。社外へのWebサービスやモバイルアプリケーションの提供を想定すると、競合他社は刻々とサービスを強化するし利用者は気まぐれです。気づいたときに、あるいはABテストなどによってサイトやアプリをできるだけ早く改良する必要があるという考えが背景にあります。よく言われる「time to market」です。

 つまりビジネスや事業部門が「こうしたい」と考えたことを即座に実現することが重要なのです。開発と運用が協力するのは当然で、その結果、「time to market」というビジネス価値を生み出すわけです。

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