[インタビュー]

「攻めのITに向けたコストの見直しが重要」第3者保守の米Rimini Street日本支社長

2017年1月19日(木)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

デジタルトランスフォーメーション(DX)など新たな仕組み作りが求められる一方でIT 予算は“青天井”ではない。それだけに、既存システムの運用負荷やコストの削減が課題になっている。その解決策の1つに第3者保守によるソフトウェアの保守費用の見直しがある。独SAPや米OracleのERPパッケージなどの第3者保守サービスを手がける米Rimini Street(リミニストリート)が「保守費用半減」を掲げ日本市場に参入して約3年。日本企業は第3者保守を受け入れているのだろうか。実状を同社日本法人の支社長である脇阪 順雄 氏に聞いた。

米Rimini Street日本法人支社長の脇阪 順雄 氏米Rimini Street日本法人支社長の脇阪 順雄 氏

−−2014年3月の日本進出から間もなく3年になる。受注状況はどうか。

 2016年9月末時点で日本での顧客数は85社を超えた。対前年同期比では1.5倍以上の伸びであり、売上高は63%増である。この3年を振り返れば、1年目は数社程度だったが、2年目に倍近くにまで増えた。そして3年目は、グローバルの伸び率である40%を上回ってきた。

 この背景には、参入当初に企業が抱いていた第3者保守に対する心理的な不安感が、先行事例などによって解消されてきたことがある。日本のERPユーザー企業数は、独SAPが2000社、米Oracleは600社に上るだけに、当社の見込み客はまだまだある。2017年に顧客数が100社を超えるのは間違いがない。

 そのため当社としては、顧客に安心してもらえるサービスを提供し続けられるように、サービスデリバリーの体制の充実を図っている。当社のデリバリー体制はグローバルで一体運営されており、法令対応やパッチ対応などの情報も一元管理している。そのうえで日本支社には現在、20人強のエンジニアが在席している。これは決して少ない人数だとは考えていない。例えばSAPは日本に2000の顧客を持っているが社員数は営業担当者などを含めても1500人以下ではないだろうか。1社当たりのエンジニア数は推して知るべしだ。

−−顧客はいずれもSAPやOracleなどのERPパッケージのユーザー企業なのか。

 ERPパッケージで言えば、SAP製品のほか、Oracleの「EBS」や同社が買収した「JD Edwards」や「PeopleSoft」などのユーザー企業になる。業種特化のパッケージや、ERPと併せて利用している「Business Object」や「Hyperion」といったBI(Business Intelligence)関連ツールについては正規保守のまま使い続けるという企業が多い。

 ただ、この3年間で顧客企業が当社の第3者保守に期待するところが変わってきている。1年目に第3者保守を選択したのは、SAPやOracleと何らかのトラブルを抱えており「リプレースしたいけれどできない」といった企業だった。2年目に当社を選択したのは「ERPパッケージに対しては、もう何も手を加えない」という、いわゆる“塩漬け”にしたシステムの保守費用を削減したい企業が中心だ。それが3年目は、今後のシステム展開に打って出るために、既存システムの保守費用を下げるために第3者保守を選択する企業が目につくようになってきた。

 経営層の興味は今、明らかにデジタルビジネスにある。デジタルトランスフォーメーション(DX)などへの理解が進んだからだ。IT部門にしても、経営ニーズに応えるためのシステム構築・運用を求められており、そのための手段として第3者保守を利用しようという機運が高まってきている。そうしたニーズに呼応して、DBMS(データベース管理システム)だけを対象にした第3者保守へのニーズが高まっている。Oracle DatabaseやSAPの「HANA database」などが対象になる(関連記事)。

 そうした企業の代表例が、エレベーターやエスカレーターを製造するフジテックだ。同社は今、モバイルやクラウドを主体にした“攻めのIT”へのシフトに取り組んでいる。基幹系システムなど“守りのIT”においては順次、AWS(Amazon Web Services)環境に再構築していくことを計画されている。同社の基幹系システムはOracle Database上に独自開発したものだが、Oracle Databaseの保守費用が負担なっていた。そこで、AWSに移行するまでの間、Oracle Databaseは当社の第3者保守サービスに委ね、保守費用を削減。AWSへの移行時にはDBMSそのものも見直すと聞いている。

−−クラウド化の進展で、ERPパッケージなども機能の提供と運用が一体化したサービスとして提供されるなど、保守業務は顧客の手から離れ始めている。

 クラウドサービスは大きく、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)に分けられている。このうちIaaSの場合は、自社が保有するERPのソフトウェアラインセンスをクラウド上で動作させる、いわゆる「BYOL(Bring Your Own License)」では、ベンダーに支払う保守料は変わらない。

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