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「クールさ」で戦うには「お寒い」社内業務を見直せ!組織一丸で洞察を導くIT基盤のグランドデザインとは?

2017年8月21日(月)

顧客とのタッチポイントすべてから得られるデータを活かして、一人ひとりに最適な策を打っていこう──。企業は今、他社に先んじようとあの手この手を練っている。しかし、社内の既存の業務フローやシステムの作りが前時代的なままでは、せっかくのアイデアも画餅に帰す。あなたの会社ではどうだろう。設計思想も使い勝手も異なるシステムが乱立しており、意思決定の材料となるデータを得ること一つとっても、多大な手間ひまがかかって担当者一人ひとりが辟易していないだろうか? 今こそ、ブレークスルーが必要だ。デジタル時代の勝ち組になるために、IT戦略全体を統括するリーダーが念頭においておくべきことを考えてみる。

 日本では今、「働き方改革」の議論が活発だ。モバイルワークの推進や、ライフワークバランスへの配慮、快適なオフィス空間作りといった様々なテーマで取り組みが進められているが、何よりも重要なのは一人ひとりの生産性アップであり、そのためには、「今、解決しなければならないことを、必要な情報と必要な人脈に縦横無尽にアクセスして、後延ばしすることなく、いかにその場で解決するか」を考えなければならない。

 人手で対処している非効率な業務を代替するものとして、脚光を浴び始めたテクノロジーの一つがRPA(Robotic Process Automation)。もちろん、相応の効果が期待できるだろうが、「そもそも何故、ムダな業務を生んでいるのか。それを根本から解決するためには社内のシステムはどんな構造であるべきなのか、大局的な視点を持つことを忘れてはならないはずです」と田村氏は指摘する。

 社内にある前時代的なシステム群にメスを入れない限り、デジタル時代の競争優位は獲得できない──。その時、企業のIT戦略担当者が念頭に置くべきポイントは何か? あらためて整理するならば、(1)社内のエンゲージを高めること、(2)従業員のコラボレーションを促進すること、(3)ムダが無く機動性と柔軟性に富んだオペレーションを確立すること、以上の3点を徹底的に突き詰めていくことが欠かせない。

機能比較よりもソリューションに込められた想いが重要

 システムを構成するプログラミングは極めて複雑だし、時々のトレンドに沿ってお金も人手もかけて現在の形に行き着いた経緯がある。それが業務と密接にからんでいるだけにいかんともしがたい──。IT業界の経験が長い人であればそう考えるかもしれない。

 一方で技術的なバックグラウンドがない人からは「業務にかかわるデータは中央に集約する。顧客向けシステムも社内向けシステムもそこと紐付くようにして、スマートフォンで親しんでいるような使いやすくて考え込まれた画面を用意すればいいのでは。今の技術をもってして何故、それができないのか?」という声が聞こえてきそうだ。“門外漢”の指摘は、時として核心を突いている。

 現実の混沌を一旦忘れて、これからの企業に求められることを考えてみよう。美辞麗句が並んでしまうことを承知の上で書き記すなら「ビジネスの実態を可視化して、関係者全員で共有し、知恵を出し合い、方策を定め、アクションを起こし、結果を評価する」という一連の流れを、スムーズかつスマートにこなす仕組みと風土を確実に根付かせることだろうか。

 いつも大口発注のある得意先から、今回に限り納期を2日早められないかという相談を受けたとしよう。予定商品の仕掛かり状況は? 他社納品予定のものから回せる余地は? 価格条件は据え置きで妥当なのか?…。例え社外にいたとしても、手際よく最新の関連情報を調べ、上司や現場責任者に打診し、しかるべき回答を速やかに提示できるような“一枚岩”のシステムが必要だ。例外的な対応をした際の結果もきちんと記録に残しておき、似たような商談が発生した時の判断材料に活かすことも忘れてはならない。

 技術的な要件に落とし込むなら次のようなイメージだ。社内で扱うデータの意味や形式といったものを一元化する。それに沿って、顧客対応のシステムも、販売管理や生産管理といった社内システムも、つつがなくつながる構造にする。普段使い慣れたオフィスツールから、透過的にアクセスできたり、情報共有できたりすれば使い勝手がいいし、もちろんモバイル端末にネイティブに対応していることが望ましい。先に触れたSoEもSoRも対象に、エントツーエンドの一連のフローがよどみなく流れるようにし、ユーザーの「次のアクション」を考え抜いた操作体系備わっていることが欠かせない。

 「ビジネスの最前線で起きていることを正確に把握して、どうすれば最善の結果につながるかを議論できるプラットフォームこそが鍵を握ります。つまり、洞察を得るためのシステム、SoI(Systems of Insight)を念頭に必要なアークテクチャや機能を洗い出した上で、グランドデザインを描かなければなりません」(田村氏)。

 もちろん、そのような理想像に一足飛びにたどり付けるわけではない。既存システムが更改のタイミングを迎えた時、あるいは、新たにシステム構築が必要となった時、世の中のソリューションを見渡して理にかなったものを見極める選択眼が必要となる。「ポイントソリューションの機能比較に力を注ぐよりも、そのベンダーの製品サービスにはどのような設計思想が貫かれているのか、ユーザーの課題をどれだけ真剣にとらえて解決策を実装しようとしているのか、背後に隠れた“想い”に考えを巡らせることが、より重要性を帯びてきたのではないでしょうか」とは田村氏の弁だ。

 急がば回れ。いにしえからの言い伝えはIT戦略にもあてはまる。魅惑的なテクノロジーの隆盛で「枝葉」に目を奪われがちだが、今こそ「幹」である企業システム全体のあり方を広い視野で議論しなければならない。
 

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