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三菱倉庫、医薬品物流のサプライチェーン全体をリアルタイムで可視化する「ML Chain」を運用開始

2022年8月22日(月)神 幸葉(IT Leaders編集部)

三菱倉庫は2022年8月18日、医薬品物流におけるサプライチェーンをリアルタイムで可視化するデータプラットフォーム「ML Chain(エムエル チェーン)」の運用開始を発表した。医薬品メーカーの製造工場や物流において、温度管理や位置情報などサプライチェーン上の重要情報をリアルタイムで可視化し、クラウド上で共有・把握する。将来的には新しい流通スキーム構築なども視野に入れている。

 三菱倉庫によると、近年、医薬品の物流に関しては、希少疾患の治療で使われるスペシャリティ医薬品の増加など、これまで以上に厳格な品質管理が求められているという。2018年12月には厚生労働省が「医薬品の適正流通(GDP:Good Distribution Practice)ガイドライン」を公開している。

 同社は、2015年からGDP対応の医薬品保冷配送サービス「DP-Cool」を構築・展開するなど、高品質な物流サービスの提供を通じて医薬品の安定供給を担ってきた。「医薬品物流は今後、多様化・複雑化がいっそう進むと予想される。これまで以上にサプライチェーン上の関係事業者が一体となって、高い水準の品質保証と安定供給を維持していく必要がある」(同社)。

 そうした中で今回、同社が運用を開始した「ML Chain」は、ブロックチェーンなどの技術を活用してサプライチェーン全体の可視化や高度な品質管理を実現するもの。同プラットフォームの構築にあたっては、米IBMが米国食品医薬品局(FDA)の実証実験において構築した仕組みを参照している。

 まずは、製薬企業の製造工場、物流センターから医薬品卸倉庫への配送までのメーカー物流の領域において運用を開始した。温度管理や位置情報などサプライチェーン上の重要情報をリアルタイムで可視化し、クラウド上で共有・把握する。

 今後、同社は、メーカー物流において国際物流への拡大を図ると共に、国内においてはメーカー物流の枠を越えたサプライチェーン全体の可視化を目指す。従来は可視化が難しかった領域の情報も網羅していくことで、在庫水準の適正化、安定供給の維持といったメリットをもたらすML Chainの活用が広がるとしている。

 また、将来的には、在宅医療の促進など患者宅直送型の新しい流通スキームの構築支援も視野に入れ、流通に関わるさまざまな事業者と連携する構想を持つ。「サプライチェーン全体で高度な品質管理を共有する、汎用性の高いオープンプラットフォームとしての運用を見据えている」(同社)という。

 加えて、ML Chainに蓄積されたデータを分析し、業務プロセスの自動化・省人化や業務負担の軽減を図ることで、サプライチェーン全体の最適化やサステナブルな物流の実現につなげるとしている。

図1:ML Chainの目指す姿(出典:三菱倉庫)
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