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[特別対談]

【特別対談企画】BPMとSOAを実装した日本発のERP 「Biz∫」に込めたメッセージを聞く

2011年7月7日(木)

グローバル展開や各種の法制度対応を視野に、ERPソフトのユーザー企業が着実に増えている。欧米系の製品に押されがちな市場において、日本勢はどれだけの付加価値を示せるのか。NTTデータからスピンオフし、新たな体制と製品で新機軸を打ち出すのが株式会社NTTデータ ビズインテグラルと新ERP「Biz∫(ビズインテグラル)」だ。経営とIT活用について練達する中澤進・日本CFO協会主任研究員が、製品開発の狙いから販売戦略まで、同社の代表取締役常務・吉崎正英氏に聞いた(文中敬称略)。

中澤 進 氏
インタビュアー 中澤 進 氏
日本CFO協会主任研究委員
1971年、日本IBM入社。経理・財務部門の業務改革、管理会計、内部統制分野でのコンサルティング及び会計システムプロジェクトの実績多数。2002年、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社取締役に就任。2007年、中澤会計情報システム研究所を設立。同年よりアロウズコンサルティング顧問に就任。日本CFO協会主任研究委員、早稲田大学WBS研究センター特別研究員も兼ねる。


中澤 進 氏
今月のゲスト 吉崎 正英 氏
株式会社NTTデータ ビズインテグラル 代表取締役常務 開発本部長
1990年、NTTデータ通信株式会社(当時)入社。一貫して一般企業のシステム開発・コンサルティングに携わる。1998年より、ERP(特にSAP)ビジネスに従事。2007年より、製造ビジネス事業本部ERP部門統括部長。2009年5月、株式会社NTTデータビズインテグラル設立時、代表取締役常務開発本部長に就任。


中澤:まず、初めにBiz∫の開発の狙いや経緯について教えてくれますか。

吉崎:2000年前後に、NTTデータがユーザー企業の情報子会社に相次いで出資しました。それら企業の持つ業務アプリケーションには良いものもあって、上手く活用できないかという話が持ち上がったのです。ただ、集めただけではソリューションとして機能しないため、統合的な基盤上で稼働するソリューションを構築する方針に変更しました。具体的には、当社の関係会社であるNTTデータ イントラマートのWebシステム開発基盤「intra-mart」を使おうと。折しも、1993年からNTTデータが開発・販売しているERPソフト「SCAW」のバージョンアップとも重なり、これを統合することも視野に入れました。

ただし、NTTデータだけでは手の回らない部分もあって、NTTデータ イントラマートに加え、アイテックス、1stホールディングス、東洋ビジネスエンジニアリング、ディーバなど、有力なパートナーに開発協力・販売提携だけではなく資本面でも加わって貰って、09年に会社を設立したのです。ここまでやるなら世界で通用するようなERPソフトを開発しようということで思いは1つになりました。それが、NTTデータ ビズインテグラルであり、製品がBiz∫という位置付けです。

顧客にとっての真のベストプラクティスとは

中澤:なるほど。グローバル化にも対応できるような体制を整えたわけですね。では、製品の主要な特徴や機能について説明して下さい。

吉崎:先にも少し触れましたが、ベースにシステム開発実行基盤があり、その上で機能別のアプリケーションを提供するという「層構造」になっているのが特徴です。その基盤部分にはBPM(ビジネスプロセスマネジメント)やSOA(サービス指向アーキテクチャ)を具現化する仕組みを実装しています。技術的な詳細は割愛しますが、お客様にとってみれば、まるでブロックを組み立てるようにして必要な機能を取捨選択し、システムを構築できることになります。SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)などクラウド技術にも積極的に取り組んでいます。ユーザー企業にとっての「真の柔軟性とは何か」を考え抜いた結果とご理解していただければと思います。

単に、基盤を提供するだけでなく、Biz∫販売(10年7月販売開始)をはじめとして、Biz∫会計、Biz∫CRM/SFA、IFRSに対応可能なBiz∫連結クラウドなど業務に必要な機能をパッケージ化した製品も、昨年秋から順次、リリースしています。

中澤:ターゲットとして、どんな市場を想定していますか。

吉崎:売上高において500億円から2000億円の企業規模を想定していますが、それ以上の規模の企業でも利用可能で、実際に引きあいも多いですね。また、そういった大企業の関連企業・子会社などもターゲットとなります。

中澤:海外のERPパッケージ、例えばSAPやOracleなどの製品との違いや、棲み分けなどが課題となりそうですね。

吉崎:子会社や関連会社では、その与えられた事業領域で、スピーディに意思決定して事業展開をするのがミッション。その点では、親会社が採用しているERPソフトやそれに伴う業務プロセス承認等の処理が、子会社にも必要なものなのか、という視点があると思います。「ベストプラクティス」という名目の下、過剰な機能の導入や連携機能の追加を強いるようなことがあれば、ユーザーに高い負担をかけてしまう気がしますね。

中澤:とはいえ、海外製のERPソフトをすでに導入している企業は少なくないと思いますが、そのような企業でも利用したいと思うような機能はありますか。

吉崎:従来のSCAWの時代からあったのですが、仕訳や取引パターンを誤って入力・更新しないように、項目間のチェック・ルールを定義する機能があります。GL(一般会計)、AP/AR(債権債務管理)などで利用できます。また、国産のパッケージでは当然ですが、締め請求等の日本の商習慣対応を行っています。

中澤:なるほど。経営管理に活かすべき製品という視点では、情報システム部だけではなく、経営層、経理部・経営企画部など多くの層や部門にも納得して貰わないといけませんね。

吉崎:経理部や企画部の方へは、全面的に業務を変更するのではなく「必要な機能を必要な時に」という点を訴求しています。多種多様な機能を揃えているので、様々なご要望に対応できるとの自負があります。

一方で経営層の方には、2つの面からご説明しています。まずはコストが抑えられる点です。多くのERPソフトは最初からたくさんの機能が備わっているのに加え、要件に合わせてアドオン開発する例も少なくない。これに対して、必要な機能を取捨選択してシステムを構築できるBiz∫は、結果としてリーズナブルな価格で導入できます。ベースとなる金額が抑えられれば、保守料も安く済みます。長く使っていく上では、保守料の負担は見逃せないポイントだと思いますよ。

業務処理のみならず経営改革を具現化するツールに

中澤:コストパーフォマンスが優れている点は分かりました。もう1つは何ですか。

吉崎:業務全体を「見える化」するBPM基盤があります。業務改善・効率化のポイントは、1つ1つのプロセスだけではなく、全体最適の視点でプロセス間の効率化やコントロールを図らなければなりません。Biz∫には、プロセス全体の実施状況をモニタリングして評価する仕組みが備わっており、ボトルネックの洗い出しなどに役立てることができます。

中澤:ITが経営を支えるという視点で、魅力的な機能ですね。

吉崎:地道な業務改革を全社に展開していくことが、結果的に経営改革につながります。これが、私達がBiz∫を通じて提供したい重要な価値の1つです。実際に、このBPM機能を気に入って導入してくれる企業が多いですね。決して“お仕着せ”ではない「ベストプラクティス」を実現することを、これからも目指していきたいと思います。

もちろん、当社だけでできることには限界があります。実力のあるパートナーやSIerとの協力関係を深め、業種・業界向けのテンプレートを充実させなければなりません。すでに商社・医薬・食品向けなどを進めていますが、まだまだ種類を増やしていきたいですね。

中澤:ユーザー企業はもとより、貴社やパートナーそれぞれが、Biz∫を通じて事業の拡充を体現できる、そうした「ベストプラクティス」を是非、実現してほしいと思います。

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