自分たちが使うシステムは、自分たちが主導して作る─。これを実践している宮田眼科病院(宮崎県都城市)を訪問し、システム化の実情を視察してきた。ユーザーが開発を主導するのは必要だが、実践は容易ではない。現場で開発プロジェクトの実態を確かめたかったのだ。
宮田眼科病院は、鹿児島の分院を合わせると年間約16万人の外来患者が訪れ、約8000件の手術をこなす日本屈指の眼科専門病院である。午後の到着だったにもかかわらず、ロビーにはたくさんの外来患者さんがいた。
ロビーのデジタルサイネージには先行開発された予約管理システム「M-Magic」と連動して、待機のステータスが時々刻々と表示される。待ち時間の改善と、患者の不満解消に寄与している。その後、検査、診察、治療、手術、ケア、病棟、医事会計などを視察し、大学病院を凌ぐような先端医療研究施設などを巡るうちに、眼科医療の全体像とプロセスが浮かんできた。
話はそれるが、ガラス越しに見学した白内障のオペ(手術)は特に印象深かった。院長である宮田氏が個体差のある白内障の手術を次々とこなす。角膜縁の部分切開から白濁した水晶体の破砕吸引、皮質処理、眼内レンズ挿入といった一連の作業が淀みなく行われ、1人当たり5、6分でオペを終える。角膜は見違えるように透き通る。患者の喜びが伝わってくるようだ。まさに神の手をみる思いだった。
生々しいプロジェクトの姿
宮田眼科病院が取り組むプロジェクトは「Hayabusa」と呼ばれており、業務を改善し医療現場の流れをトータルに組み込んだものだ。狙った獲物は逃さない隼に思いを込めている。核となる電子カルテも当然含まれている。
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