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ビックデータをビジネス価値に変換する2つの要素とは?

2012年11月27日(火)

日本オラクルは2012年9月27日、「オラクル アーキテクト サミット」を開催した。 企業システムのグランドデザインを検討するアーキテクトを対象に、弾力性や柔軟性に富み、経営環境の変化にスピーディーに対応し得るIT基盤のあり方をテーマとするものだ。 当日の内容をレポートする。

グローバル化を果たした2つの企業事例

日本オラクル
エンタープライズ・アーキテクト本部 本部長
岡嵜禎氏

まず岡嵜氏は、2つの事例を紹介した。

ひとつは国内某大手製造業におけるグローバルサプライチェーンの推進に対する取り組みだ。これまで国内の製造業が海外に進出する際は、日本を生産拠点としたハブ・アンド・スポーク型の営業拠点展開が中心だった。しかし、商品のライフ・サイクルが短期化し、グローバル規模のコスト競争が激化してくると、販売拠点だけでなく生産拠点もグローバル展開をすることで、安い生産労働力の確保を推進するとともに、流通に伴うコストと時間を低く抑えつつ、グローバル規模で生産および販売状況を把握して迅速な最適化を図ることが重要な企業戦略となった。

しかし、そのような企業戦略を支えるはずのITは、拠点ごとに設計・開発・維持運用されていた。各拠点のシステムには独自のアプリケーションが稼働しており、ビジネスプロセスもデータもばらばらで各拠点のビジネス状況を迅速に把握することは困難であった。加えて利用されている多くのITインフラは20年以上前に導入したメインフレームが中心で、それらを維持運用するために多額の費用が費やされていた。そこで同社はグローバル・サプライチェーンの推進にタイミングを合わせて、ITシステムも大幅に刷新することを決定した。2つの改革を同時に行うことで、事業の大幅なイノベーションを図ったのだ。

システム刷新は「インフラの最適化」「情報の最適化」「アプリケーションの最適化」の3つにフォーカスして行われた。まずインフラについては、クラウドを基盤とするシステムに変更された。これによりグローバル展開のスピードが格段に早まったという。そして情報の最適化においては、データの標準化を推し進めるとともにグローバル共通のDWHとMDMを導入することで、グローバル全体でどこからでも情報を共有できるようにした。また、アプリケーション最適化のフェーズでは共通領域と個別領域を明確に分類し、共通領域における業務プロセスの標準化を徹底させた。

この理由として岡嵜氏は「各拠点の組織にひもづくプロセスを最優先するのではなく、ベースとなるプラットフォーム上に標準化したプロセスを載せ、各拠点の特殊なプロセス(国・地域ごとの商習慣など)を融合させていくほうが、柔軟な運用が可能になる。業務や組織はつねに変化していくものであり、そのたびにプロセスを作り変えるのではなく、柔軟に変更できるようにしておくことが重要」と語る。

2つめの事例は、海外の某航空会社におけるミッションクリティカルなシステムのクラウド(SaaS)採用だ。採用の理由は、ビジネス環境の変化が以前よりもグローバル・レベルで大幅に加速していることが挙げられる。

航空業界は、グローバルレベルでアライアンスの推進や法規制、燃料の市場価格の変化などの外部環境の変化に大きく左右される。だが一方で、同じ航空業界にいるのであれば競合他社といえども共通する悩みを抱える部分も多い。例えば、リザベーションやパッセンジャーサービスといった、ミッションクリティカルではあるが差異化要因とならない部分(逆にアライアンス・グループで統一したサービスを提供することが顧客満足度の向上に貢献する部分)はそのようなシステムの構築/提供を得意とするSaaS事業者に任せたほうがTCO的にも理にかなっている。

逆にロイヤリティ・サービスなどの独自プログラムは自社で構築すべきであり、同社ではオンプレミスで運用している。「予約が殺到する時期のハイトランザクションをベースにしたピーク設計は無駄が多い。そういう部分にSaaSを採用し、競争優位性にかかわる部分はオンプレミスで構築して保有する。こうしたハイブリッドなシステム構築事例も増えてきている」と岡嵜氏は説明する。

ITのシンプル化を実現するオラクルのクラウドソリューション

ここで挙げた2つの事例に共通するのは、ITのシンプル化(Simplify IT)をクラウドで実現することでITコスト構造を改革し、さらに新たなビジネス変革を加速(Unleash Innovation)しているところだ。冒頭でも触れたように、残念ながら海外に比べて国内企業はITをイノベーションに活かす段階にまで至っているところは少ない。岡嵜氏は「IT予算のせめて50%をビジネスの成長、もしくはビジネスの変革に使えるようになれば、国内企業も活性化する」と言う。それに向けた最初のステップははITのシンプル化にほかならない。

複雑化したITがシンプルになり、システムがサイロ化した状態からグローバル共通の情報基盤を活用する状態になれば、企業が新たなビジネスに投資する余力が生まれる。企業の投資体力が上がることで、イノベーションを推進することが可能になる。「国内企業は今がまさに変革のとき。今やらないと、海外と差は開く一方」と岡嵜氏は繰り返し強調する。

では具体的にはどんな方法でITのシンプル化を進めていくべきなのか。シンプル化といっても単に捨ててていくだけでは事業運営さえも成り立たなくなってしまう。岡嵜氏は「アーキテクチャの変革は一気に行うのではなく、段階的に進めていくのが現実的で効果的」と指摘する。重要なのは、達成したいゴールを見据えて、そのためにやるべきステップを描き、得られるメリットとコストのバランスを見ながら、実現可能な計画を立案することだという。

たとえば各拠点で個別のシステムが乱立し情報が散在していることにより、各拠点のビジネス状況を把握することも困難であれば、業務系のシステムにはあまり手を入れず、情報系の統合を何より優先して進めることから始めればいい。各拠点のビジネス情報が可視化されれば、どの業務プロセスを共通化し、どの業務プロセスを個別化すべきかも見えてくるはずである。また、各システムが最初は個別であってもかまわない。クラウドを実現するの基盤を先行して構築すれば、段階的な移行を進めながら、様々な変更にも柔軟に対応しやすくなる。岡嵜氏はITインフラの最適化に向けた段階的移行の例として、以下の4つのステップを挙げている。

  • STEP 1
    ITインフラのガバナンスやマネジメントのためのフレームワーク作成、ポートフォリオの整備、使用する製品や運用の標準化
  • STEP 2
    自動化を含む統合化されたIT運用サービスの開発、インフラおよび運用サービスのカタログ化、仮想化技術などの導入
  • STEP 3
    サービスライフサイクルマネジメントの確立、サービスコスト構造の策定
  • STEP 4
    ユーザのためのフロントエンドサービスとバックエンドサービスの開発と提供、チャージバックモデルへの完全移行、IaaS/PaaSへのサービス移行

ここで岡嵜氏は、次世代のアーキテクチャを考える際のひとつのリファレンスとして、オラクルのクラウド・ソリューションの紹介を行った。

オラクルが提供するクラウドの最大の特徴はその多様な選択肢にある。プライベートもパブリックもカバーするサービス・オファリングのメニューも豊富だ。プライベートからパブリックへの移行やその逆、あるいは共存も容易となっている。前述したように、組織も業務もつねに変化するものであり、そうした変化に対応できるクラウド・プラットフォームでなければイノベーションを加速することはできない。オラクルが提供するクラウドはオープンなアーキテクチャでスタックを構成していることによって、多様な組み合わせや移行、および共存を容易とし、お客様に多様な選択枝を提供している。

数あるクラウド・ソリューションの中でも、岡嵜氏が取り上げたのは全てが同じアーキテクチャで提供される「Oracle Fusion Applications」だ。岡嵜氏はFusion Applicationsには以下の3つの特徴(Standard)があるとしている。

  • The New Standard for Innovation
    100% Javaベース、すべてモジュール化/構造化されたSOAベースのプラットフォームでアプリケーションが稼働する
  • The New Standard for Work
    ユーザエクスペリエンスの向上を実現するインテリジェントなUIが、メニュードリブンではなく、ユーザの次の行動を誘導する
  • The New Standard for Adoption
    クラウドからオンプレミスまで、ニーズに応じて自由に配置方法を選択できる

ビックデータをビジネス価値に変換する2つの要素とは? [ 2/3 ] 日本オラクルは2012年9月27日、「オラクル アーキテクト サミット」を開催した。 企業システムのグランドデザインを検討するアーキテクトを対象に、弾力性や柔軟性に富み、経営環境の変化にスピーディーに対応し得るIT基盤のあり方をテーマとするものだ。 当日の内容をレポートする。

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