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[ベテランCIOが語る「私がやってきたこと、そこから学んだこと」]

情報系基盤のクラウドへの移行、大臣表彰など外部から高く評価される

第11回

2016年12月1日(木)寺嶋 一郎(IIBA日本支部 理事長/元・積水化学工業 情報システム部長)

前回は、グローバルに向けてのITの展開の背景とその挑戦をお話した。今回は、情報系基盤をクラウドに移行したプロジェクトを中心に、クラウドのメリットやデメリットに関してお伝えしたい。結論から言えば、クラウドは、まさに社会やITのあり方を変えたと思う。何かを読み取っていただければ幸いである。

 ほんの5、6年前まで、クラウドはバズワードだと言われた。クラウドの定義も曖昧だった。「プライベート・クラウド」という名のもと、単なるアウトソーシングや仮想サーバーのホスティングサービスをクラウドだと呼んでいた。

 日経新聞がクラウドを特集すれば、経営トップから「我が社はどうなんだ? クラウドを使っているのか?」などと聞かれる。データセンターにあるサーバーをインターネット越しに活用することもクラウドだといえるなどと勝手な定義をしながら、「もちろん、すでにクラウドを使ってます」などと答えたものだ。

 そもそもクラウドとは何なのか。ITベンダーが言うクラウドという言葉を真に受けていいのだろうか。筆者は、ハードウェアの自動構成や自動的な起動やリソースを動的に割り当てる技術が備わっていないものは「クラウド」とは呼べないと考えている。必要な時に必要な分だけオンデマンドでリソースを利用でき、不要になったら利用を停止できなければ、クラウドと呼ぶ意味がないと思うのだ。

 クラウドの定義を曖昧にしたまま、ベンダーやメディアは騒ぎ立てているだけなので、いずれブームは終わると思われた。ガートナーのハイプ・サイクル(技術やサービスに関する期待度と成熟度を表す曲線)で、「クラウド」は黎明期から流行期を経て、幻滅期に入るなどとも言われていた。

東日本大震災をきっかけとしたクラウドの普及

 その流れを変えたのが東日本大震災だったのではないか。その際に体験したのは、インターネットを介しての情報収集・共有の強靱さだ。停電で電話やFAXが使えなくなった時、頼りになったのがメールやSNSだった。震災を機に、ITのBCPをどうするかという議論が湧き上がり、バックアップのデータセンターをクラウドにする動きが広まった。

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