[インタビュー]

DX推進に不可欠な人事評価ルールの見直し、“社員エンゲージメント”に着目を

米Workday日本法人の鍛治屋清二社長に聞く

2019年2月20日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ぶかどうかはともかく、デジタル時代に適応するために企業や組織のあり方、業務などを変えていく中で必須とされるのが、社員と会社の関係を見直したり再定義したりすることだろう。カスタマーエンゲージメントならぬ、”エンプロイーエンゲージメント”と言われる取り組みである。

 例えばデジタル時代に欠かせない行動特性とされる”Fail Fast”。「トライして小さな失敗を繰り返す中から成功への道筋が得られる」という趣旨の考え方だが、これと確実に業務成果を積み上げることを求める成果主義や目標管理制度(MBO)は相容れない面がある。そのためデジタル推進部門か全社かは別にして、評価のやり方を修正する必要がある。

 今も残る終身雇用や年功制と、ダイバーシティマネジメントも同様だ。卒年や社歴、出身部門にこだわるのではなく、社員個々の能力やスキルや業務実態を細かに把握し、適材適所(これもFail Fastだが)の業務アサインをしたり、必要なら外部から人材を採用して組織編成したりしないと成功は覚束ない。社員が自発的に研鑽を積めるような教育の仕組みも必要だろう。

 こうした社員エンゲージメント変革に関して、ソリューションを提供するベンダーは現状をどう見ているのか。2018年10月、有力企業である米ワークデイ(Workday)日本法人の社長に就任した鍛治屋清二氏(写真1)に聞く機会があった(関連記事「2022年までに日本で真のクラウドHCM市場を」─ワークデイが国内戦略を強化)。

 まとめると「(日本企業の)人事制度はそう簡単には変わらない。しかし社員から見て魅力的な企業にならないといけない、そのためにタレントマネジメントなどできるところから変えていかなければならない、といった問題意識は急速に高まっている」という。以下、一問一答形式でお伝えする。

写真1:Workday日本法人 社長執行役員の鍛治屋清二氏

 なお、Workdayの事業内容については、「米WalmartやAmazon、独シーメンスなど有力企業はなぜWorkdayを採用するのか?」、「知っておくべき人材マネジメントSaaS「Workday」の実像~サービス編」といった記事で解説しているので、併せてお読みいただきたい。

社員に成長の機会を示すべきと考える企業が増えている

──Workday日本法人の社長に就任されて数カ月、どんな感触ですか?

 私自身はCADやPLMなど製造系ソリューションが長く、業務アプリケーションを担うのはWorkdayが初めてですが、HCM(人的資産管理)分野は今まさに変革期にありますので、強い手応えを感じています。どういうことかというと、営業や販売、生産に関わるシステムなどと違ってHCMはこれまで裏方的なアプリケーションでした。特に日本では外資系と違って現場のマネジャーが人事権を持っていませんでした。今まさに、これらが変わっていくタイミングだからです。

 例えば昨日、ニトリがWorkdayの採用を発表しました。当社からお願いしたのではなく、自ら発表されたことです。社員の学習を支援するプラットフォームを構築したというのが発表の骨子ですが(図1)、これは企業が社員から見て魅力的に映らないといけない、上司と部下のエンゲージメントをもっと強める必要があると考えていることを示しています。別のいい方をすると、社員に対して成長の機会を示さないといけないと考える企業が増えてきているんです。

図1:ニトリが構築した人材マネジメントプラットフォーム
拡大画像表示

──ここへ来て社員と会社の関係を見直し、改めてHCMに取り組む動きが増えていると?

 そのとおりです。2018年11月には大塚製薬が導入されましたし、数年来のユーザーである日立製作所や日産自動車も同じです。今は経団連会長を務められている中西(宏明)さんとお話したことがあるのですが、「(日立の)社長時代に事業を絞り込んだ結果、人材もスリム化した。それはそれとして世界で戦うには人材を強化しないといけない。つまりグローバル人材を活用する以外にない。そのためには人材のグレードからグローバルで統一しないといけない」と、おっしゃっていました。

 少し説明すると、日本で200人のスタッフがいる部門の部長をしている人材と、50人しかしないけど海外子会社の社長をしている人材とでは、どっちがどうなんだという基準を設けないと国や部門を超えて横に異動させられないということですね。見方を変えると、横に異動できるようにするのは、非常に大事であるということになります。

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