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[プロセスマイニング コンファレンス 2019]

データとプロセスのあり方を見直した先にある「Intelligent Enterprise」

2019年11月28日(木)

ERPのイメージが強いSAPだが、今や収益の過半数はそれ以外の領域からのものであり、特にプロセス自動化やイノベーション加速に向けたソリューションの拡充には余念がない。2019年9月に都内で開催された「プロセスマイニング コンファレンス 2019」(主催:インプレス IT Leaders)に同社のキーパーソン2人が登壇。同社が提唱する「Intelligent Enterprise」のビジョンや、それを具現化するための方策について熱く語った。

ヒトを中心に取り組むDXへと変化している

 企業がIT活用において目指すべき姿として「Intelligent Enterprise」というビジョンを提唱しているSAP。データをインテリジェンスへと昇華させると共に、プロセス自動化とイノベーションを強力に推進していこうというメッセージだ。進化著しいデジタルテクノロジーを味方に付け、その前提の上でビジネスや組織のあり方を再定義し、自らを変革させていかなければならないという本質において昨今のキーワード「デジタルトランスフォーメーション(DX)」ともシンクロすると言えるだろう。

図1 付加価値の最大化に向けて歩むべき「Intelligent Enterprise」への道
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 セッションに最初に登壇した福岡浩二氏(ソリューション統括本部 アナリティクスCoE)は、DXのコンセプトはSAP社内で10年ほど前から重要視しており、それを支えるソリューションへと落とし込みながら市場展開してきた経緯を説明。その上で「かつてはテクノロジーの導入が先行しがちでした。現在のDXが当時と異なるのは機械学習やAI、IoTといった技術は使いつつも、中心にあるのはヒトだという点です。定型作業の機械化が目的ではなく、ヒトが付加価値の高い業務に集中できるようにし、いかにハッピーになれるかを目指すものとして捉えなければなりません」と強調した。

SAPジャパン ソリューション統括本部 アナリティクスCoE 福岡浩二氏

 Intelligent Enterpriseを具現化するために不可欠な要素として福岡氏は次の3つを挙げた。「インテリジェンススイート」と呼ばれるERPなどのアプリケーション群、インテリジェントな取り組みのエンジンに相当する「インテリジェントテクノロジー」、そして、取り組みの器に相当する「デジタルプラットフォーム」である。

 当イベントのテーマであるプロセスマイニングに関しては、ERPなどのアプリケーションに実装されている技術や、「インテリジェントテクノロジー」として提供されるAI/機械学習、IoT、アナリティクス技術が関わってくると福岡氏は説明。もっとも、顧客のニーズは、プロセスマイニングのツールを求めることよりも、DXの取り組みで直面する課題をどう解消するかに重きがあると指摘する。

データ管理、業務プロセス、テクノロジーの視点が重要

 「DXの取り組みでよくある問題や懸念は、導入が目的化しやすいこと、ビジネス効果が見えにくいこと、全体最適ができないことです。これらを解消するためには、戦略を基軸に『データ管理』『業務プロセス』『テクノロジー』の視点でバランスよく計画を立て、実践することがカギとなります」(福岡氏)。

 まず「データ管理」では、SAPが提供するテクノロジー(ERP、機械学習、シミュレーション、BIなど)や業務テンプレートなどを活用し、「プロセスに紐づくKPIの設計/見直し」「科学的な予見能力と全社での調整能力」「業務とKPIの両軸での可視化」「定型作業での機械との協業」を念頭に取り組む。ここでは、プロセスマイニングの手法を使って業務の可視化やプロセスの重み付け、戦略との整合性などを分析することが重要だ。

 「業務プロセス」では、RPA導入にありがちな個別活動の「タスク軸」で自動化を検討すると、結果として業務システム改修が必要になり、負担が増えるケースが多いことに注意が必要だ。そこで、他社との差異化やガバナンス強化といったビジネス効果を生む「プロセス軸」での評価から入ることが望ましい。

 さらに「テクノロジー」では、プロセスマイニングを起点に、俯瞰的な視点で技術と向き合うことが欠かせないとする福岡氏は「SAPのアプローチは、従来から提供してきたERPなどの業務システムと、RPAやプロセスマイニングなどの新しいテクノロジーを融和させ、『Intelligent ERP』として提供していくものです。特にプロセスマイニングは業務の可視化を中心に重要な役割を果たします」と続けた。

セロニスとの協業でERPとの密連携に注力

 具体的にどのようにこれらを実践していくのか。続いて登壇した髙橋浩二氏(Software Solution Partner事業部 部長)は、「SAP Solution Extensions」というSAPのユニークなプログラムで、プロセスマイニングツールでトップシェアを持つセロニス(Celonis)社と2017年から契約開始し、翌年から米国、アジアへとグローバル展開して一気にSAPユーザーへの導入が進んだ経緯を説明。セロニス社との協業により、従来活用されていなかったSAPアプリケーションのトランザクションデータが「宝の山に変わる」と両社の戦略的取り組みの意義を強調した。「SAP Process Mining by Celonisを利用すれば、現状の業務プロセスをニアリアルタイムで可視化することができ、様々な改革の礎となります。オペレーショナルエクスペリエンスやコンプライアンスの確保、システムの改善、S/4HANAへの移行などを支援することができるのです」(髙橋氏)。

SAPジャパン Software Solution Partner事業部 部長 髙橋浩二氏
図2  SAP Process Mining by Celonisが提供する価値
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 「真のデジタルトランスフォーメーション」を実現するためには、“非構造化データ類”も電子化することが重要で、ほとんどの日本企業では部門ごとにバラバラにそれらを管理しており、グローバルで見ると「ガラパゴス状態」と指摘する同氏は、ここで欧州大手ハイテク企業の先駆的事例を取り上げた。SAP Process Mining by Celonisに加え、全社で非構造データをプラットフォーム化するための「SAP Enterprise Content Management by OpenText」、見積もりから契約プロセスを電子化し、捺印プロセスも排除する「SAP Signature Management by DocuSign」、そしてRPAを組み合わせたベストプラクティスである。

 この企業では、長年業務改善は続けてきたが、まだまだExcel、PDF、メールやFAXでのやり取りなどマニュアル作業が多く残っていたことがDX実現のための大きな課題となっていた。そこで、DocuSign、OpenTextとRPAの“3種の神器”を組み合わせた結果、「自動化率24%向上」「手戻り作業11%削減」「1100万のマニュアルステップの削減」といった目覚ましい実績へとつながった。現在はグローバルで6,000人のCelonisユーザーをアサインし、「さらなるスピード経営を目指しています」と髙橋氏は効果を強調した。

 最後に「まだまだ多くのSAP ECC(ERP)ユーザーがSAP S/4HANAへの移行に対して価値が見出せず、プロジェクト開始に躊躇しているようです。そんな日本企業において、Celonisを活用すれば構想策定フェーズで定量的なROI試算の裏付けができ、欧米に大きく後れを取っている経営基盤の再構築と真のDXの実現も可能になるしょう」(高橋氏)とし、今後、プロセスマイニングが益々注目されるという展望を示してセッションを締めくくった。


●お問い合わせ先

SAPジャパン株式会社

SAP Intelligent Enterprise 関連
福岡 浩二
Koji.fukuoka@sap.com

SAP Process Mining by Celonis
SAP Extended Enterprise Content Management by OpenText
SAP Signature Management by DocuSign 関連
高橋 浩二
Koji.takahashi@sap.com

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