[技術解説]

DaaSサービスの低価格化が急進、操作性を保つ技術進歩や導入を容易にする製品も

実用期迎えたクライアント仮想化 Part2:クライアント仮想化 7つのトレンド

2010年8月31日(火)栗原 雅\ 鳥越 武史(IT Leaders編集部)

クライアント仮想化が一気に身近な存在になってきた。月額2000円台で利用できるDaaS(デスクトップ・アズ・ア・サービス)の登場、PC並みの使い勝手や性能を可能にする技術革新など、クライアント仮想化の現状を読み解く7つのトレンドを紹介する。 栗原 雅/鳥越 武史(編集部)

Trend 1
DaaSサービスが続々登場 最低2000円台で利用可能に

 DaaS(デスクトップ・アズ・ア・サービス)が次々と登場し、PCリプレース時の選択肢として一気に現実味を帯びてきた。DaaSとは、PCのデスクトップ環境そのものをサーバー上で仮想化した「仮想PC」を、ネットワーク経由で貸し出すサービスである。技術的にはシンクライアント・システムの一種に位置づけられ、「画面転送型」「ネットワークブート型」「ブレードPC型」「仮想PC型」の4種類に大別できるシンクライアント・システムの形態のうち、仮想PC型に相当する。

 仮想PC型の最大のメリットは、クライアントOSをサーバー上に配備するので、基本的に既存のPCで動くすべてのアプリケーションを利用できる点である。これまでシンクライアント・システムで多く採用されてきた画面転送型のように、利用できるアプリケーションの制約がない。

 この数カ月で劇的に変わったのは、仮想PC1台当たりの月額利用料金が1万円を大きく切り始めた点である。NTTコミュニケーションズは2010年6月、月額9800円から利用可能なDaaSサービス「Bizデスクトップ Pro」を開始した。翌7月にはインターネットイニシアティブが月額8000円から利用できる「IIJ GIO仮想デスクトップサービス」をスタート。同月、丸紅はDaaSサービス「VirtuaTop(バーチャトップ)」の価格改定を実施し、仮想PC1台あたりの月額利用料金を6500円から3980円に引き下げた。さらにこの月、ソフトバンクテレコムもDaaSサービスを正式に発表。2010年10月に開始する「ホワイトクラウド デスクトップサービス」で、仮想PCを1台当たり月額2500円で提供する。

 現在、月額制のDaaSとしてサービスを提供していないが、以前からシンクライアント・システムの構築を手掛け実績が豊富なNECや日本IBM、日立製作所といった大手もDaaSサービスへの参入が見込まれる。

シンクライアント・システムの大分類とDaaSの位置づけ
シンクライアント・システムの大分類とDaaSの位置づけ

Trend 2
デスクトップ環境の単価下落 CPUコア数は増加、端末は低価格化

ワイズテクノロジーの「Wyse Sクラス」シンクライアント端末の低価格化が進む。写真はワイズテクノロジーの「Wyse Sクラス」

 事業者が提供するDaaSを使わず、仮想PCを実行・展開するためのシステム基盤「VDI(仮想デスクトップ環境)」を自社で構築する条件も整いつつある。

 一般にクライアント仮想化=シンクライアントの導入はコスト的にPCに比べ割高だった。しかし、最近は自社でVDIを構築した場合でも、仮想PCの単価を以前より抑えやすくなっている。単価の引き下げを可能にした代表的な要因はCPUコア数の増加、端末価格の下落、Windowsのライセンス改定である。

 仮想PCに割り振るリソース容量にもよるが、CPUのコア1つ当たり7.5台分のPCを実装できるとされている。4コアのXeonプロセサを2個搭載するサーバーなら60台分、8コアなら120台分のPCを1台のサーバーに集約できる計算になる。

 シンクライアント端末の価格も安くなった。2008年秋に本誌が調べたところ、中心価格帯は10万円前後でPC並みだったが、日本ヒューレット・パッカードが2010年3月に発売した製品は2万4150円。8月現在は1万9950円で販売している。もちろんPCの価格も多少は下がっているが、大量調達しても現状では6万〜7万円というのが一般的だ。

 仮想PCで使うWindowsのライセンス体系も整った。マイクロソフトは2010年7月1日に「VECD」と呼ぶライセンスを廃止し、新たに「VDA」の適用を始めた。VDAは月額1100円で、月額1200円だったVECDより10%程度下がった(いずれも参考価格)。

●Next:メリットが周知され、国内企業の間で導入機運が高まる

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