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米GEのIndustrial Internetの成果と進化

2017年3月20日(月)大和 敏彦(ITi代表取締役)

米GEが推し進める「Industrial Internet」の成果の1つが日本に本格進出してくる。ものづくりと、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(人工知能)などのテクノロジーを融合させた、火力発電プラント「デジタル・パワープラント」の建設事業だ。今回はIndustrial Internetの進捗を例にデジタル化について考えてみたい。

 ピツニーボーズにとってデジタル化の最初の目的は、ダウンタイムの削減である。機械からデータを収集することで稼働時間や機械の状況を適切に把握・管理することでダウンタイムを減らした。次にステップ2として、この機械の稼働データと、機械の構成や処理内容、オペレーターの構成との関連や相関を分析することによって、機器そのものだけでなく、使い方や人、スケジューリングを含めたオペレーション全体の生産性や効率を向上させた。

 さらにステップ3では、より高度なアナリティクスやアプリケーションを使うことによって、何が起こっているかを分析する「解説的アナリティックス」と、根本原因に基づいて修正のための対応策を示す「予測的アナリティックス」を実現。問題点の解析能力の向上や予測に基づく最適運用を可能にしたのである。こうした期待効果が明確なところから始めながらも、活用方法を高度化することでデータの価値は高まり、企業業への貢献は大きくなるのである(図2)。

図2:データ活用の高度化ステップの例図2:データ活用の高度化ステップの例
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自社開発プラットフォーム「Predix」を強化・展開

 Digital Twinやデータ活用を迅速に実現するために、GEは自社開発するプラットフォーム「Predix」を使っている。Predixは、DevOps環境も実現したアプリケーションの構築からテスト、展開までをカバーするプラットフォームである。燃料消費やアセットの効率的活用、機器のダウンタイム削減、生産性向上、機会損失の減少を実現できるよう、将来ニーズまでを考慮したPaaS(Platform as a Service)として設計されている。

 構成としては、オープンソースのPaaSを提供する米Pivotalの「Cloud Foundry」をベースにしたマイクロアーキテクチャーを採用。解析用プラットフォームである「Hadoop」、Connectivity as a Serviceとしての IoT接続、管理プラットフォームといった共通機能を提供する。機能強化も盛んで、エッジ(フォグ)コンピューティングへの対応、AI/解析機能の強化、アプリケーションの品揃え強化などが進む。

強化点1:エッジ(フォグ)コンピューティングへの対応

 エッジ(フォグ)コンピューティングの機能「Predix Edge System」を2016年11月に取り込んだ。コントローラー、ネットワークゲートウェイ、ネットワーク機器などの必要なところに、機器用アプリケーションを組み込み、それをクラウドに接続できる。これによって『IoTの実現に向けて広がるフォグコンピューティング』で触れたように、ネットワークの負荷軽減やエッジでのインテリジェンス化による迅速な応答や自動化が可能になり、Predixの応用範囲が広がる。

強化点2:AI/解析機能の強化

 産業用アプリケーションのデータ取得の効率を高めたり、アナリティックスの強化やDigital Twinの精緻化に役立てたりするために、Bit Stew Systems(ビット・ストュー・システムズ)とWise.io(ワイズアイオー)を2016年11月に買収した。Bit Stew Systemsは、データ統合や、データから意味を抽出してモデル化を行う技術を持っている。これを「Machine Intelligence」と呼んでいる。Wise.ioは、機械学習やデータサイエンス機能に強みを持ち、カスタマーサービスにおける応答の自動化、適切な窓口への割り当て、適切な応答の推薦などに適用している。

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