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[CIOのための「IT未来予測」将来を見据え、目前のITを評価せよ]

米GEのIndustrial Internetの成果と進化

2017年3月20日(月)大和 敏彦(ITi代表取締役)

米GEが推し進める「Industrial Internet」の成果の1つが日本に本格進出してくる。ものづくりと、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(人工知能)などのテクノロジーを融合させた、火力発電プラント「デジタル・パワープラント」の建設事業だ。今回はIndustrial Internetの進捗を例にデジタル化について考えてみたい。

強化点3:アプリケーションの品揃え強化

 Predix上で動作するアプリケーションの充実を図るために、アプリケーションベンダーのServiceMaxとMeridiumを買収した。それぞれが持つフィールドサービス業務やアセット管理のアプリケーションに加え、Predixとの統合により、より広い範囲で高度なサービスをGEやそれぞれの顧客に提供できることになる。

 ServiceMaxは、フィールドサービス業務に特化し、そのためのフル機能をクラウドベースで提供する。同分野ではリーディング企業で、大手を含む400社以上の顧客ベースを持っている。Meridiumは、コスト削減と、可用性の向上、リスク管理の競合する3つの軸において優先順位のバランスを取った資産戦略を可能にするアプリケーションを提供する。資産と運用パフォーマンスのインテリジェントな最適化を実現する。

Predixの顧客数もパートナー数も増加中

 2016年、Predixを推進するGEデジタルの売上高は70億ドルを越えた。Predixを使っている工場の生産量も6億ドルを越えたという。Predixの新規顧客として、英石油大手のBPや、米の電力・ガス大手のExelon、米ロサンゼルス港湾局、無線データ管理の米Teledyne Controls、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、NECの名を挙げている。

 Predixの活用を加速する動きとして、パートナリングも強化している。GEが持つデジタルインダストリーの専門的な技術や知見を、システムインテグレーターやサービスプロバイダー、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)、テクノロジープロバイダーやリセラー経由で展開する「グローバル・アライアンス・プログラム」を用意。GEから独立したサービスプロバイダーの米Genpactのほか、米Intelや米Deloitte Digital、仏Capgemini、インドのTata Consultancy Servies(TCS)とInfosys、Wipro、そしてメキシコのSofttekなどがパートナーになっている。PREDIX用産業用アプリケーションを開発するISV向けプログラムでは、Predix開発者が既に1万9000人を超えているという。

 GEのIndustrial Internetは、Predixという進化を続けるプラットフォームをベースに、自社のビジネスにOT × ITの活用によって競争力の高い製品やプロセスの実現を図る。そこに向けて強化したPredixプラットフォームの展開はパートナリングによって実現しようとしている。

 IoTに関しては、GE以外にもプラットフォームやツールを提供するベンダーや、製造業自体の動きも盛んになってきた。変革の事例も多く発表されている。自社のデジタル化においては、プラットフォームやテクノロジーはもとより、それによって何が変革されるのかを理解して早急に進める必要がある。

筆者プロフィール

大和敏彦(やまと・としひこ)
ITi(アイティアイ)代表取締役。慶應義塾大学工学部管理工学科卒後、日本NCRではメインフレームのオペレーティングシステム開発を、日本IBMではPCとノートPC「Thinkpad」の開発および戦略コンサルタントをそれぞれ担当。シスコシステムズ入社後は、CTOとしてエンジニアリング組織を立ち上げ、日本でのインターネットビデオやIP電話、新幹線等の列車内インターネットの立ち上げを牽引し、日本の代表的な企業とのアライアンスおよび共同開発を推進した。
その後、ブロードバンドタワー社長として、データセンタービジネスを、ZTEジャパン副社長としてモバイルビジネスを経験。2013年4月から現職。大手製造業に対し事業戦略や新規事業戦略策定に関するコンサルティングを、ベンチャー企業や外国企業に対してはのビジネス展開支援を提供している。日本ネットワークセキュリティ協会副会長、VoIP推進協議会会長代理、総務省や経済産業省の各種委員会委員、ASPIC常務理事を歴任。

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