[OSSを理解する]

デスクトップ/業務アプリケーション、OSS鳥瞰図【第3回】

2017年4月17日(月)大釜 秀作(日本OSS推進フォーラム クラウド技術部会メンバー)

日本OSS推進フォーラム クラウド技術部会は、IT Leadersが2012年5月に公開した「OSS鳥瞰図」を完全リニューアルし、「OSS鳥瞰図2017年α版」を作成した。本連載はこれに基づき、主なOSSをカテゴリ毎に解説している。第3回は「デスクトップ・業務アプリケーション」カテゴリに焦点を当てる。

 オープンソースソフトウェア(OSS)といえばDBMSなどのミドルウェアやソフトウェア開発、システム運用に関わるツールなどIT専門家向け…こんな印象を持つ人は少なくないと思いますが、実は一般のユーザーが業務で直接利用するOSSも多数存在します。そのためOSS鳥瞰図2017年α版では「デスクトップ・業務アプリケーション」というカテゴリを設けています(図1)。 

図1 OSS鳥瞰図の「デスクトップ・業務アプリケーション」カテゴリ
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 有名どころを挙げると、Firefox(ブラウザ)、Chromium(Chromeの元となったブラウザ)、Thunderbird(メール)、OpenOffice(オフィスソフト)、Aipo(グループウェア)、Zimbra(コラボレーションソフトウエア)、SugarCRM(顧客関係管理)といったOSSがあります。ユーザーが直接利用するため認知度が高くなりやすく、人気が出ると息の長いOSSになるものも少なくありません(図2)。 

図2 Firefoxブラウザの改変履歴。非常に息が長く、それだけにきめ細かく頻繁に改良されている
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 「特定用途に特化」したOSSが多く、同一のサブカテゴリのOSSでも用途は全く異なるのが特徴です。例えば、サブカテゴリ「デスクトップ」にFirefoxとThunderbirdという2つのOSSが掲載されていますが、前者はブラウザ、後者はメール、というように用途が全く異なります。しかしどちらもデスクトップで利用されるOSSということでこのサブカテゴリに掲載しています。

 「特定用途に特化」しているにも関わらず、このカテゴリのOSSは非常に多機能です。実のところユーザーは通り一遍の使い方さえマスターしてしまえば問題なく使える、つまりマニュアルを読まなくてもそれなりに活用できますが、実際には使い切れないほどの機能を搭載しているものが多いという特徴があります。このことは、ユーザーによって使用している機能がかなり偏っているケースが多いことを意味しており、「すべての機能」に習熟しているユーザーは非常に少ないようです。そのため主なOSSには利用方法を尋ねたり、シェアしたりする情報共有目的のコミュニティが存在します。

2017年版デスクトップ・業務アプリケーションについて

 OSS鳥瞰図の2012年版と比べた時、2017年α版ではどの程度差異があるのか。答を言えばなくなってしまったOSSはほとんどありません。これは他のカテゴリのOSSではあまり見られない特徴です。このカテゴリに属しているOSSのユーザーは操作方法も含めてよく理解し、習熟している面があります。そうしたユーザーは一般に「操作が変わる」ことを嫌うこともあり、1つのOSSに習熟すると同じ利用目的でも他のOSSにはなかなか移行しません。結果として長くそのOSSを支持するファンが存在しますし、当然、開発も活性化します。そのためWebブラウザのように同じ目的のOSSが複数並立し、活発に開発されることとなります。

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